早いもので、野外ではもうコオロギが盛んに鳴き始める季節になりましたね。
エサ用のヨーロッパイエコオロギの鳴き声がごまかせるいい季節になりました。
どーもこんにちは、ハペ屋のgekcoです。
この世界ではですね、なんにせよ緑の爬虫類というのは存在自体が正義、というところがあるのですよ。
緑のカナヘビ。
緑のヘビ。
緑のオオトカゲ。
実物を見れば分かりますが、どれも魅力的な種ばかりです。そして、緑のヤモリ、というのも存在します。
それが、ヒルヤモリの仲間です。
ヒルヤモリと一口に言っても何種類もいるのですが、今回はワタクシが飼育しているヘリスジヒルヤモリについてご紹介しまっす!

異端のカタマリ、ヒルヤモリ

まず、ヒルヤモリというのは異端要素満載のヤモリだ、ということを知っておきましょう。
我々日本人が知るヤモリというのは、ご存知のとおり、夜行性で家の壁に張り付いたりしているトカゲの一種です。
ヒルヤモリはその名の通り、昼行性、つまり昼間に活動するヤモリです。ほとんどの種が、固有種で有名なアフリカのマダガスカルに生息しています。昔、「マダガスカルヒルヤモリ」という商品名でヒルヤモリが売られていたことがありましたが、ヒルヤモリはみんなマダガスカル産だもんね。

この、「夜行性ではない」という点が、ヒルヤモリを異端にさせる根本要因になっています。
まずは、魅力ともいえるその派手な体色。夜行性で隠蔽性の強い夜行性のヤモリは、目立たない体色をしているものがほとんどです。これに対し、ヒルヤモリは「これでもかっ」というくらい派手な緑色で、種によりスポットやストライプが入っています。これは、昼間に明るい森の中で活動しても目立たないよう、木々の葉に擬態していると考えられます。ちなみに、ワタクシが飼育しているヘリスジヒルヤモリは脇腹に黒いストライプが入っていて、見た目はシャープな印象です。

ヤモリといえばネコのような縦長の黒目ですが、ヒルヤモリは丸い黒目をしています。これも、明るい時間に行動するのなら黒目が丸いほうが有利だからです。
そして、主食は昆虫ですが果物や昆虫ゼリーなどの植物系のものも食べます。花に集まる昆虫を主食にしつつ、花の蜜などを補助食にしているものと考えられます。ちょっと前にご紹介した、マルメヤモリと同じ生態ですね。

飼い方も異端?ヒルヤモリ

ヒルヤモリケージ写真

とにかく見た目が派手で美しく、目もまん丸でかわいらしいので飼育欲をそそられる種ですが、ヤモリであってヤモリではないような生態ゆえ、ふつうのヤモリ的な飼育方法では失敗します。
ヤモリの飼育といえば、不活発だから狭くてもOK、夜行性だから紫外線もホットスポットも不要、というのが定番ですが、これらはヒルヤモリには当てはまりません。
小型の昼行性トカゲを飼育するつもりで臨みましょう。

まず、ケージは広めのガラスケージを用意します。ヒルヤモリと言っても種によってサイズはまちまちなので、その種に合わせたケージを選びます。我が家のヘリスジヒルヤモリはわりと小型の部類なのでそう広いケージでなくとも平気ですが、グランディスなどの大型種では注意が必要です。
ケージは「これがベスト!」というものがないのですが、個人的には観音開きタイプを使っています。絶対におすすめしないのは、熱帯魚水槽の転用です。ヒルヤモリは動きが非常にすばやく、「残像を残して走る」とまでいわれています。メンテナンスのたびに上フタを開けて上部がフルオープンになるケージなど論外です。もちろん、紫外線ライトを使うのでプラケースも使えません。
爬虫類専用ケージには観音開きタイプとスライドドアタイプがありますが、スライドドアタイプの場合、ドアとドアの重なった部分の隙間から脱走を企てることがあります。すんなり通り抜けられても困るのですが、挟まったまま動けなくなることもあるので注意が必要です。これを防ぐには、このドアの重なり部分にティッシュを詰めたりテープで貼ったり、ということになりますが、見た目が悪かったり開閉がめんどくさかったり、ということになります。
というわけで、ワタクシは観音開き派ですが、これにも欠点が。
観音開きタイプはその構造上、開けたときにどうしてもドア接合部の反対側に少し隙間が出来てしまいます。その隙間にダッシュされると、脱走を防げません。そのため、メンテナンス中は常にヒルヤモリの位置に気を配ることになります。
ケージを決めたら、先にレイアウトをしておきます。ヒルヤモリを入れてからのんびりレイアウトなどできません。
これも好みによりますが、ワタクシ的にはきっちりと土を敷いてレイアウトすることをオススメします。キッチンペーパーでも敷いたほうが衛生的に保てますが、キッチンペーパーを取り替えるのが大変です。土を敷き、ある程度の湿度を保てば、ヤモリのフンくらいは分解されるようになります。
というわけで、土を敷き、葉の丈夫な観葉植物を植えましょう。ワタクシはゴムの木を使っていますが、これはそれこそお好みです。なんならなくてもいいですし、イミテーションでも大丈夫です。ヤモリの住み心地を考えると、何らかのシェルターはあったほうがいいでしょう。隠れ家としての機能もさることながら、そこについた水滴から水を飲む、ということもあります。100均のものを使う場合、表面に洗剤がついていることがあるので良く洗ってから使いましょう。
ライトは爬虫類用の紫外線ライトを使用、ケージサイズにもよりますが40ワットくらいの小さなホットスポットも作ります。あまり小型のケージで無理にホットスポットを作ると、ケージ全体がオーバーヒートするので気をつけてください。
エサはコオロギが主食ですが、ここで、先に紹介した「花の蜜を舐める」という生態が生きてきます。じつは甘いものを入れておくと舐めに来るのです。ワタクシのオススメは「レパシー クレステッドゲッコーフード」です。これは商品名のとおり、本来はクレステッドゲッコーというヤモリのための人工飼料ですが、香りが甘く、栄養価が高いので、甘いものを好む多くのトカゲやカメに使えます。粉末を水で溶くだけなのでお手軽なのもうれしいところ。ケージ内にペットボトルのキャップを置き、レパシーを溶かして入れておきましょう。1日置いたものは処分ですが、コオロギに食わせればいいエサになります。
飼育を始めたら、毎朝軽めの霧吹きを忘れずに。

ここが困るよ!ヒルヤモリ

とかく異端のヤモリゆえ、他の種ではそう問題にならないようなことが、大問題になったりします。
まぁ、基本的には早すぎるんですな、動きが。
何度でも書きますが、残像を残していなくなります。
それゆえ、まともな写真が撮れません。
いい感じの場所に出てきてくれてて、その美しい姿を写真に収めようとすると、レンズを向ける頃には消えています。ヤモリから目を離さずにカメラを構えたつもりでも、瞬きの瞬間違う場所にいます。瞬間移動のようです。せっかく美しいヤモリを飼っているのにSNSにアップできない、そんなもどかしさを楽しみましょう。
このすばやさゆえ、先に紹介した観音開きタイプのケージを使用している場合も、「あ、側面にいるな」と思った次の瞬間にはドアの隙間から体が半分ハミ出てる、なんてことは珍しくありません。移動する直前に移動する先を視界で確認する性質があるので、動きをよく見極めることが肝心です。
また、ヤモリは壁面生活なのでケージのガラス面をフンで汚すことが多いのですが、ヒルヤモリの場合、このフンがなかなか落ちません。甘いものを食わせているせいか、ベタつきが強く、一度乾燥すると手ごわい汚れになります。ワタクシは霧吹きでぬらした後にメラミンスポンジでゴシゴシしていますが、あのメラミンスポンジですら落としにくい手ごわさです。で、そうこうしているうちにヤモリ逃げてるっていう…。

とまぁ、飼育はこんな感じです。
緑の爬虫類というのはクセの強いやつが多いのですが、ヒルヤモリも例外ではありません。とにかく美しいヤモリだし、活発で見ていて飽きない種なのですが、いわゆる「ヤモリ」のようなお手ごろセッティングでは飼育できず、キチンとしたセットを用意する必要があります。そうして器具をきっちり揃え、こまめに霧吹きし、脱走におびえながらせっせとガラス掃除をして、俺はいったい何が楽しいんだろうか…と、ふと見上げたケージで、自然な表情を見せるヒルヤモリに心奪われる、そういう付き合い方をする相手、と思いましょう。

 

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