1988年公開。
「ラ・ブーム」シリーズのクロード・ピノトー監督が、ソフィー・マルソーを再び主演に起用して、ラ・ブームより少し大人になった世代の恋愛を綴っています。

会いたくてもなかなか会えないカップルの、ケータイがない時代ならではのもどかしさが逆に、会えた時や電話で会話をするときの心の高鳴りが手に取るように伝わって、甘酸っぱい雰囲気を醸し出していました。
恋愛と、仕事や夢の狭間で悩む姿が、とても身近に感じられる作品です。

瑞々しくて軽やかな恋愛映画なのですが、ラストの口述試験のシーンでは、恋愛の真理について哲学的に述べています。
この場面があるゆえ、軽いだけではなく、一本芯の通った作品だという印象を受けました。

あらすじ

ミュージシャンのネッドは、バンド仲間たちと共にスキー旅行にやってきた。
滑降中に転倒したため、仲間たちは先にリフトに乗っていってしまい、ネッドは彼らより数台うしろのリフトに乗り込む。

ゴンドラ型になっているリフトには、すでに先客が乗っていた。
厳重に防寒対策をしている彼女の顔は、ゴーグル越しの目しか見えない。
知らない人との空間で多少の気まずさを感じるネッドだが、乾燥対策のリップ(どぎついピンク)を塗った顔を呆れられたり、食べかけのヌガーを勧めて首を振られたり、それなりにコミュニケーションをとろうとする。

女性は顔を覆っていたマスクやゴーグルを外していき、素顔を出した。
その美しさにネッドは時間を忘れて見惚れる。

帰りの駅でまた彼女を見つけ、ネッドは衝動的に彼女の後を追いかけた。
電車内で本を読む彼女に声をかけ、自己紹介でヴァランティーヌという名前だと教えてもらう。
そしてデートの約束を取り付けた。

中学校の補助教員をしているヴァランティーヌは、正規教員になることを目指してソルボンヌ大学に通い、5年も猛勉強をしていた。
試験は3ヵ月後に迫っている。かなりの難関だ。

ほんとうは恋愛をしている場合ではない。
だけど前カレと別れて8ヵ月も経っており、軽いデートくらいなら、と自分に言い聞かせる。

待ち合わせのレストランでは、本当は早めに到着していたのに、わざと遅刻してきたように振舞って、駆け引きを試みる。
うっかり自分ばかり喋り過ぎたことを心の中で反省する。

去り際には、試験が近いからあまり会えない、と伝えるが、ネッドもまた翌日からツアーのため、試験が終わったら会おう、と伝えた。
それはヴァランティーヌに思わぬショックを与え、彼女のほうからネッドを誘い、一夜を共にした。

こうして二人は付き合うことになるが、シェアハウスに越したヴァランティーヌは共有の電話を使えなかったり、深夜の電話で寝不足になって勉強に支障をきたしたり、苦労をすることになる。

優先順位が分かっていても

一緒に夜を過ごした翌日、余韻に浸りながらも、ヴァランティーヌはシェアハウスに引っ越して勉強に打ち込む覚悟をつけ、ネッドはツアーで各地を回ったり、初めて手掛ける映画音楽の仕事に専心しようとします。

そのはずなのですが、思うがままに会えない状況に、かえって二人はお互いのことが気になって勉強や仕事が手につかない。
恋愛あるある_(:3)∠)_

離れていると、相手に自分よりいい人が現れるんじゃないかと気になるものなんですよね~。
二人にとって、今は仕事や勉強のほうが優先事項であることは自分で分かっているのですが、気持ちが向かない。
この困った状態…。

ヴァランティーヌは若くて美人だから、自分同様に一目惚れしてアプローチしてくる男が現れるんじゃないかとネッドは気が気じゃないし、ネッドもまたバンド内やファンの女性たちからモテるし、別れた前妻とも気軽に会って良好な関係なものだから、ヴァランティーヌも不安に駆られています。

勉強しなきゃ、仕事しなきゃ、と思いつつも「会いたい」「もっと話したい」という気持ちが勝って電話の前から離れられなくなったり、わずかな時間でも会おうとして急な予定変更になったり、いろいろ中途半端な状態になりかねない。
付き合いたてだと、なおさらこうなってしまいがちなんですよね。

恋愛に夢中になりすぎて、やるべきことを疎かにするべきじゃない!と頭では分かっていても、なかなか切り替えるのは厳しいものがあります。
こういうとき、いつでも会える状況のほうが、逆に「会わなくても大丈夫」と思えて、本来の優先順位を守れるから不思議です。

とはいえ、この葛藤もまた恋愛の醍醐味だと思うので、優先順位を守れなくて悩む時期も大事な経験として活きるのではないでしょうか。
恋愛は人生の一要素ではあるけれど、大切なのはそれだけではない、ということを、身をもって知る体験になります。

ここで悩んでおくと、将来的に恋愛と生活全般もしくは自分の夢とのバランスを上手く取る方法が見つかると思います。
苦しくても踏ん張りどころだと思って頑張ってください。

ありのままで

「アナ雪」の曲タイトルをそのまま見出しに使うのに少し抵抗があるのですが、他に思いつかなかったorz
ので、申し訳ないけどコレでいきます。

正義感が強く、マナーが悪い人にはケンカ腰で注意するのがヴァランティーヌの性格です。
この気性の激しさは恋愛面でも悪い方向に作用し、一度嫉妬に駆られると、真実もはっきりさせないまま思い込みで不機嫌になったり怒鳴ったりしてネッドを悩ませます。

そのためヴァランティーヌとの付き合いに疲れてきたネッドは、彼女との別れを考え始め、友人との電話でその悩みを吐露しました。
結局別れを切り出せず、代わりに同棲を提案して互いに精神的な安定を得るのですが、ふとしたことで、録音されていたそのときの電話の内容がヴァランティーヌに筒抜けになってしまいます。

ネッドの本音を知った彼女は涙をこらえて、ネッドを責めて彼の元を去りました。
そして口述試験当日、スピーチ内容はクジ引きにより、「モリエールの“人間嫌い”から見る愛と利己愛の違いについて」に決まります。

公聴も出来る試験会場には、ネッドの姿もありました。
ヴァランティーヌは「人間嫌い」の主人公たちの気持ちと、自分たちの恋愛を絡めた思考になり、熱弁を奮います。

そしてネッドを見つめながら「ありのままの私を愛して。ありのままのあなたを愛するから」と告げました。

欠点も含めて全部受け入れてほしい、ということなのでしょうね。
その欠点を直そうとは思わんのかーい( ゚Д゚)、と少々エゴイスティックなものを感じますが、欠点のない人間はいないし、相手の欠点も受け入れる、と言っているので、これは「愛」なのだと思います。

人間なかなか欠点を直せないものですし、そのままでいい、と言ってくれる人に安心するし好意も持ちます。
その欠点が、人としての道に外れたもの、に該当しなければ受け入れるのが幸せではないでしょうか。

生理的に無理、とかいろいろありますけれどね…本気でハラ立つときもあるし。
「許容範囲を広げる」という自分自身の成長の修行にもなると思います。
なるべく相手のありのままを受け入れるようにしていきましょう。

まとめ

モコモコとコートを着込んで、重そうなバッグを肩から下げて分厚い本を抱えながらパリの街を歩くソフィーがすごく絵になっています。
どうしてこうフランス映画は、何気ない日常の動作やひとコマなのにオシャンティに思わせてしまうのか…ほんとズルい(褒め言葉)

恋愛の初期のトキメキ感が伝わって何気にキュンキュンする作品です。
だけど、DVDのパッケージが酷すぎて買うのを躊躇しました。
なぜかエロ作品と思わせるような煽り方で、<ヘア解禁版>なんて文言まで…(;一_一)
一瞬しかねーよ、そんなシーン!
日本版の公式に汚されたようでイヤな気分になりましたが、内容は本当に純粋でいい話ですよ。
個人的にめっちゃ好きな作品です。

 

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