21世紀に入ってから約20年が経とうとしている地球ですが、現代でも世界中にありとあらゆる神様が祀られ崇拝され続けています。その崇拝されている多くの神様は、私たちと同じ人間であった存在であることが殆どです。
日本国で神様と言えば、国内に建立されている神社の数ほど多くいらっしゃいますのでキリがございません。そんな中でも格別に知名度の高い神様となれば、やはり天照大神や七福神の神々ではないかと思われます。
この記事では、人物や人間ではない神様の存在について記述します。ご存じの神様も登場するかも知れませんが、各々の神様について調べている中で特に気を惹かれた神々を説示させてもらいたくなり執筆に至りました。
神様の種類
過去に存在されたと思われる日本神話の神様や史実上の神様もいらっしゃれば、実在していたことが明らかな人物が亡き後に神様となられた方もおられます。さて、時折りですが人間以外の神様を目にすることがあります。
皆様も何かしらで見聞きしたことがあると思います。動物を神と拝めている神社、不存在とされる何らかを祀っている神社、民間信仰の神様や陰陽道の神様などを崇拝する神社が、この日本全国各地に点在しているのです。
動物の神様
動物の神様と言えば獣神的なイメージも浮き立ちますが、いわゆる神様の使者として人間と接する動物のことを意味します。特定の動物が神様の意思を人々に伝えるという説は日本神話でも記されるなど古来よりあります。
日本では人間以外を神の対象として崇める習わしや寺社が存在します。それは、現在も人間と共存している動物であったり、架空上の生物を祀っている社もあります。これより、まずは動物の神様からご紹介します。
狛犬(こまいぬ)
少し大きめの神社の両脇、あるいは神宮や寺院などの本堂の正面か左右に向き合う形で置かれていることが多い一対の像を狛犬と呼びます。見た目は犬というより獅子に似ていますが、狛犬は必ず一対で一体と見做します。
狛犬の大きな特徴は片方が口を開き片方は口を閉じている点です。開口している方が最初の言葉(阿形・アギョウ)、閉口している方が終わりの言葉(吽形・ウンギョウ)を意味していて、全宇宙を包合すると云われています。
ちなみに阿吽の呼吸という言葉は狛犬が由来です。狛犬は当初、神社の魔除けとして用いられたことから拒魔(こま)犬と記されていた説もあります。もちろん現在でも各々の寺社を護るために置かれている架空の動物です。
神鹿(しんろく)
日本最古の書物とされる古事記に登場する天迦久神(アメノカクノカミ)が鹿の神様と云われています。昔の日本では稲作農耕が開始されて間もない頃、鹿を食する習慣があり民族の飢えを凌いだ貢献から霊獣化しました。
あと日本の神話や伝承行事で豊作嘆願のため、水田に鹿の死体や生血を捧げるという儀式があったという記録も遺されています。現在では奈良県の春日大社が有名ですが、他にも鹿を敷地内で飼う神社は少なくありません。
白蛇(しろへび)
神の化身として最も有名な動物の一つでもある白蛇ですが、神社によっては白蛇を神様として祀るのではなく御祭神の使いとして信仰されています。弁才天の使いとしても有名で、多くの神社や仏閣にて祀られております。
古来より日本国内では白蛇を見ただけでも縁起が良いとされていて、水神様として拝めている社もあります。また熊本県内には、数体の白蛇を御神体として崇拝しています。この神社では生きた白蛇の神様と会えるのです。
色んな神様
我々が住む日本という国には八百万以上の神々が存在していると言われています。その中には実体が定かではない神様や、神話や逸話を由来とする神様などもいたり、多岐に渡ります。
何より妖怪に属する神様までいるのは驚きです。
人物や動物のように生物と認識できる姿や形をしている神様以外にも、神様として拝められている存在があります。日本ほど様々な神様を祀っている国はありません。ここからは、そんな神様たちをご紹介させて頂きます。
付喪神(つくもがみ)
長い年月を経過した家具や道具などに宿る神様です。初めて表記されたのは室町時代と云われていて、道具類だけに限らず動物・植物・人間でも百年も経てば霊性を得るとされています。つまり神格化するということです。
百年に一年だけ足らないと詞書きで表しているので、付喪は九十九(つくも)のことであるとされています。この世に現れてから百年も経てば、万物の全ては変幻自在の霊力が身に付き付喪神という神様となりえるそうです。
摩利支天(まりしてん)
摩利支天という神様は、仏教の守護神とされている天部の一柱です。元々は太陽や月の光線という意味合いとのことですが、陽炎を神格化したのが摩利支天です。その由来は古代インドに現れた暁の女神と云われています。
陽炎は実体が伴わないので、捕まえることも捉えることも不可能なため、濡れず・焼けず・傷付かずの隠形で自在の通力を持ち合わせています。その性質からか、戦国時代の武士たちの間で摩利支天信仰があったほどです。
事代主(ことしろぬし)
大国主神の子とされていて、現在でも宮中で御巫八神の一つです。奈良県御所市の鴨都波神社では事代主が祀られています。日本書記の別伝では、高天原に帰順した神の中でも特に有力な神様として名を挙げられています。
事代主は事代主神(ことしろぬしのかみ)とも云われていて、出雲神話の神様で国譲りに際して父親に国土の献上を勧めました。先ほど御巫八神の一つと記しましたが、天皇の身を守る八神の内の一神であるということです。
淡島神(あわしまかみ)
淡島明神とも呼ばれている守護神です。婦人病の治療を主として安産や子授け、裁縫や調理の発達を助成するなど女性が携わる事柄に霊験のある神様です。淡島神の由来は諸説ありますが女性の守護神に相違ございません。
また淡島神を祀る神社の行事で針供養という催しが毎年12月にあります。錆びたり使えない針を蒟蒻や豆腐などの柔らかい食物に刺して供養します。あと和歌山県の淡島神社・淡路神社・粟島神社の祭神としても有名です。
八咫烏(やたがらす)
日本神話において八咫烏は神武天皇を熊野国(現在の和歌山県)から大和国(現在の奈良県)まで道を案内したとされていて、導きの神として信仰されております。一説には三本足のカラスとされており姿絵も伝わっています。
八咫烏は熊野大神に仕える存在として、古くより現在に至るまで信仰されています。戦国時代では紀伊の雑賀衆を統治した鈴木家の旗印でもあります。八咫烏の記録は日本書紀の他に、古事記や延喜式にも記されています。
まとめ
今回の記事では人間や人物といった神様ではなく、各地に伝承されている動物や存在が不確かな神様について説示させて頂きました。
何よりも日本神話や各々の神様の由来や経緯の奥深さには、改めて感心させられた次第でした。