女性の35才以降の結婚率は3%」
そう聞くと、もう難しいのかな?と思うけど、まだ諦めたくない。
恋愛とか結婚とか、みんなどうやって手に入れてるんだろう?回りの色んな人に聞いてみました。

けーこさんの場合 (SNSの出会いから結婚へ)

合コンのセッティングには、男性側と女性側の幹事が必要です。ところが、幹事はカップルになれないのがお約束ごと。その女性側幹事を長年に渡り務めてきたのが、けーこさん。
「私が声をかけた子たちはカップルになってるのに、私だけ何も無い!」
と本人が嘆くように、けーこさん主催の合コンは、結構な確率で毎回カップルが誕生するのです。そんなこんなで、合コン主催歴も10年……もう、結婚相談所のベテラン仲介人みたいじゃないですか。それだけ合コンに集まる女の子が途切れないことからも分かるように、けーこさんの人望は物凄く分厚く、友達の数が多いんです。
そんな我らがけーこさんに、遂に彼氏が出来ました!
お相手の方は、婚活サイトで知り合った40代の会社員。
「結婚前提で付き合いましょう」と彼から押されて付き合い始め、まだ恋愛のドキドキ感は無い、このまま付き合っていいのかと悩んでいました。けーこさんの周りの既婚者は、
「結婚にドキドキ感なんていらないよ」
「旦那は、生活費を稼ぐことができるかが一番大事」
「条件が良くて、生理的に無理じゃなければ結婚しなよ」
というアドバイス。
でも、彼女が欲しかったのは、恋のトキメキだったのです。彼女だけを大事にしてくる彼氏、その彼氏をいっぱい大事にする関係、その先に見えてくる愛溢れる結婚。結婚前提で、好きでもない人と付き合う……こんな違和感のある関係が、楽しいはずがありません。
しかもけーこさんが彼を好きになれなかった原因が、彼の腋臭。ベッドで腕枕をしてもらうのが好きなけーこさん、臭いがくさくて辛い夜を過ごしており、その事を彼に正直に打ち明けると、彼は即答で腋の手術を敢行。彼の気持ちも、そこまで固まっていたんですね。
彼を嫌がる原因は無くなった、それでも、トキメかない相手と結婚して幸せになれるか?彼女の中で大きな問題でした。
ところが、彼女が結婚に踏み切る出来事が起こります。
妊娠発覚ーー。
避妊していたのに、授かってしまった。婦人科でも、妊娠しにくいと言われていたのに!これは、神様が結婚しなさいと言っているのかもしれない。
お腹が大きくなる前にドレスを着たいし、トントン拍子で挙式の日まで決まりました。
けーこさんの悩みは、まだ続いています。
もう、お腹の子が愛しい。だって、自分の子だもんね。そうなると、ますます旦那さんのことを好きになれなくなっていく。この子が生まれたら、育児に没頭して、旦那さんの存在が疎ましくなるかもしれない……。
念願の結婚はできたけど、味わいたかった恋愛の甘さには、浸れないまま。
そして彼女もいつか言うようになるのでしょうか、
「結婚と恋愛は別。結婚にトキメキは要らないのよ」

光ちゃんの場合 (私の弟分的イケメン女子)

私はたまに、すごく異性から好かれることがある。
どこが好きなの?と聞くと、顔とか、肩とか、大きめの胸とか、背中から腰へのくびれがきれいとか、なんだそうです。(恐縮です)
残念ですが、その方々とは両想いになれずお付き合いには至らず。
光ちゃんは、私の長い黒髪が好きなんだと言います。
「仕事が終わって髪の毛をほどいて下ろした時が、ヤバイっす!」
「ささやき気味に話す時の声に、めっちゃ色気あってドキドキします!」
ありがとう、でもあなたは女の子だから、ゴメンね。
レズビアンではありません。
光ちゃんは、トランスジェンダー。
女の子の身体で生まれ、男の子の心を持っています。
スラリと華奢で背が高く、短くサラッとした黒髪と黒縁メガネがよく似合い、声や歩き方に少年っぽさが漂います。スタバの店員さんにいそうな、知的で物腰柔らかな感じ。
笑うと切れ長の一重がキュッと上がって、振っている尻尾が見えそうなくらい、私の姿を見つけると満開の笑顔で走り寄って来てくれる。こんな可愛い男の子が彼氏だったら、どこにでも連れて歩きたいのに……。
トランスジェンダーのコミュニティで、「彼」は「彼女」を作ります。
まだ学生の「彼女」のためにお弁当を作り、今日はこんなのを作りました!昨日はこれ!と全力の笑顔で写真を見せてくれる光ちゃんの本命の相手は、まだ私なのかもしれない。
時間合わせてご飯行きましょう!といつも誘ってくれるけど、期待させてはいけない、でも面と向かって断れない私はのらりくらり。
私を好きでいてくれる人がいるんだ……という、ささやかな優越感に喜ぶ悪い私を差し置いて、光ちゃんが幸せになってくれることを今は願っています。
そして、きっとその時は私が寂しい思いをして「彼」を羨むのかもしれません。

ハルの場合 (20代で結婚したキャリアウーマンのその後)

高校の同級生だったハルは、県外の有名国立大学に現役合格して、学内で少し年上の彼氏ができました。
二人とも日本史学を専攻しており、彼女は卒業後に中学校の社会科の教員に、彼は日本考古学を研究する大学院生になりました。
しばらくして、「結婚しました」と真っ白なドレスとタキシードで幸せそうに笑う二人のハガキが送られてきました。身内だけで、ハワイで挙式したんだとか。(いいなぁ!)
旦那さんは大学院を卒業してからも研究室にいるそうで、地元に一人で戻ってきた彼女は新婚でありながら別居生活を送ることに。
中学校の先生は大変なんですね。彼女は運動部の顧問になり、放課後は練習だ、休みの日は大会の遠征だ、もうすぐ期末テストで採点やら通知表やら……と目まぐるしく働いていました。
忙しいのに別々に暮らして寂しくならない?と聞くと、自分のことだけして、旦那のことをしなくていいから楽だよ!という言葉からは、同棲生活で彼女が随分と彼の面倒を見ていたことが伺えます。しょっちゅう電話してるし、休みが取れたらお互いの所を往き来してるし、普段は仕事が忙しいから寂しくならない、と、楽しそうに話してもいました。
一緒に住めなくても、心が通じているんだね。
20代前半で結婚して、仕事をバリバリこなして、生徒たちからも慕われている彼女はカッコよかったし、独身でくすぶっている私とは違う世界に行ってしまったみたいでした。「安泰」という二文字が彼女の後ろに見えるようでした。
ある朝、日本列島が震撼するニュースが飛び込んできます。
「旧石器捏造事件」
発掘調査に携わっていた考古学研究者が、事前に埋設した石器を掘り出してあたかも発見したかのようにする捏造だったとスクープされ、不正が発覚。日本の旧石器時代研究が根本からひっくり返され、中学校・高等学校の歴史教科書、大学入試にも影響が及んだ日本考古学界最大の醜聞となり、海外でも報じられた一大事件。この出来事により、彼の研究も大きな打撃を受けて……というか、ほぼ白紙に戻されることに。
そんな話を同窓会でハルから聞いていたのを思いだし、尋ねてみると、旦那さんは研究室を辞めて会社員になったらしい。お互いの両親から子どもはまだ?と聞かれると、二人の薄給では彼の大学時代の奨学金を返すのが精一杯で、子どもどころでは……と答えていたのだとか。
で、奨学金は返済できたの?と聞くと、返ってきたのは
「自分の借りたお金も計画的に返せないような人とは結婚生活を送れない」
ハルは、離婚調停の真っ只中にいました。
「子どももいないし、こんな年齢になったけど、まだ私に時間があるなら次の恋愛を探したい」
同い年で未婚の私に、こんな年齢とか言ってくれるな!!
時間もあるよ。一緒に頑張ろうね。

さやかの場合 (同棲する熟年カップル)

さやかは私の親友の一人。9才年下の彼氏と同棲しています。
付き合いはじめて7年、一緒に住むようになってもう3年。結婚しないの?と聞くと、さやか自身はしなくていいと言う。彼女、一度離婚を経験しているのだ。別れた原因は、彼女の不妊体質によるもの。
結婚後、なかなか子どもに恵まれず検査を受けたところ、卵巣の病気でかなり排卵しにくいことが分かった。旦那さんは子どもがほしかったので、お互いのためにと早いうちに離婚。その後出会った今の彼氏は結婚したいと言うけれど、どうせ子どもがいないなら今のまま付き合っている方がいい。避妊はしていないのに7年も妊娠の気配が無いから、やっぱり望みは薄い。彼氏の家族とも仲良くやっているけど、自分が妊娠しにくいという引け目から、相手の親にも申し訳なく感じる時があると言います。
彼女は自宅から車で30分ほどの工場地帯にある小さな会社で、事務員として働いています。家族経営で社員数は少なく、同年代の女性社員はいない。仕事も毎日同じ繰り返しで全然楽しくない。
とは言え、月給とボーナスはいいし、社会保障と厚生年金のことを考えると、今の年齢では辞めることはデメリットでしかない。
嫌なことも悔しいことも、黙々と堪えて忍ぶストレスの日々。
会社では、聞きたくもない上司の家族の子どもの話を日々聞かされ、彼女の気も知らずに、
「最近の人は結婚も出産もしない人が多い」
「年をとってから産むと障害を持った子が生まれやすい」
といった会話が繰り広げられるといいます。
そんな彼女を励ましてくれるのも、年下の彼氏です。
「子どもがいたら俺の愛情は子供に向かうから、さやかには半分しかあげられないけど、いなかったら愛情二人ぶんもさやかに行く。それで満足できない?」
それでも彼女の元気が出ないと、
「贅沢だなぁ。じゃあ、三人ぶんあげるわ」
と言ってくれる。
彼は仕事を辞めて看護学校に社会人入学しました。看護士になって、高給で働けるようになって、さやかと結婚する準備をしているのです。
「奥さんになって、仕事を辞めて専業主婦になって、俺の稼ぎでのんびり好きなことして暮らしたらいいんだよ」
子どもがいなくたって、籍を入れて夫婦になりたい……そう思う彼の気持ちを、さやかは受け入れ始めているようです。
「彼とももう長いし、関係が安定してるからこのままでいいんだけどね。でも、もう付き合い始めほどドキドキ感が無いから、あなたの恋バナを聴くと、気持ちが潤うんだ。辛い恋愛もあると思うけど、いっぱい聴かせてね」
そう私に言ってくれるさやかの幸せを(尽くして愛してくれる彼氏の存在を)私は羨み、さやかは私の日常にある恋の出会いや離島での伸びやかな生活を眩しく感じ、お互いに無い物ねだりをしているようで、絶妙に補完し合っています。

私の場合 (達観園児の現在)

幼稚園の頃の記憶で、今でも痛烈に覚えていることがあります。
お絵描きの時間に「将来なりたいお仕事を描きましょう」と画用紙を渡されました。先生が、一番前の席にいた女の子に
「○○ちゃんは、何になりたいの?」
と聞くと
「およめさん!」
と答えました。当時5才の私は、心の中で思っていました。
「およめさんはお仕事じゃない!」
出題者の意図を解ってない。でもその瞬間、子供ながらに悟ったんです。こうやって、大きい声でおよめさんになりたいって言える子は幸せになれる。私は言えない。そうゆうキャラじゃない。
そして、白紙の画用紙を見つめて自分の将来を考えます。
「幼稚園の後は、小学校6年・中学校3年・高校3年・大学4年……気が遠くなるほど長いなぁ。来年のことだって待ち遠しいのに、そんなずうっと先のことなんて考えるだけでも気持ちが大変になるなぁ。小学校はなんで6年もあるんだろう、そんなに長い時間何をするんだろう。幼稚園のみんなともあんまり上手くやれてないのに、小学校も中学校も友達ができなくて苦労するだろうなぁ。高校くらいには気の合う友達ができているかもしれない。そう言えば中学校って言うのに高学校って言わないのはなんでだろう。大学まで続くなんて、人間はなんでそんなに学校に行き続けなきゃいけないのか。そうしないと大人になれないほど、世の中を生きていくのは難しいことなんだろうか。そんなに長く学校に行くのはイヤだから、せめて大学は短大に行こう、そうしよう!で、仕事なんてちゃんと出来るのかな?私は短大を出てからまともな大人になってるのかな?いつもお母さんには、将来は絵を描く人になりたいって言ってるけど、この紙に「がか」を描いて表現するのって難しいから、描きやすいお花屋さんでも描いておこう。その方がカラフルで絵面もいいし。」
自宅に持ち帰った絵を母に見せると、案の定
「お花屋さんなの?お絵描き屋さんになりたいって言ってなかった?」
と聞かれ、じょうずにせつめいできなかったので、
「うん、まぁ、ちょっと……」
とはぐらかし、しょうらいがふあんだと伝えると、
「え?なに言ってるの。もっと子供らしいことを言いなさいよ」
と一蹴されたのでした。
どんよりした雨雲のような重たい胸と、お腹の鈍い痛みを覚えています。
その後本当に、中学までは友人関係に苦労し、高校で一生ものの友達に恵まれ、短大に進学します。地元に帰れば、集まれる友達もいる。
仕事は、失敗を重ねつつも「それも経験!」と割りきったら楽しくステップアップ出来ました。Webデザイナー、エステティシャン、ボディセラピストと、異業種での転職の波にもスイスイ乗って、辛いこともあったけど概ね楽しいことが多かったように思います。
好奇心旺盛なため習い事や自分磨きもあれこれやって来て、自慢できるものは特に無いものの、そこそこ器用に何でもこなせています。
エステもボディケアも(今これを書いているライター業もそうですね)、世界中どこにいても場所を問わず仕事に出来るスキルを身につけました。まさに自由。
でも、恋愛だけはどうにも上手くいかない。
好きな人には好かれないし、興味を持てない人が寄ってくる。
ちょっといい雰囲気になっても、付き合うには至らない。
お絵描きのあの時間からずっと、「およめさんになりたい」って言える子が羨ましかった。私もそうゆう子になりたかった。あの子は、きっともう幸せな結婚をしているんだろうな。

三つ子の魂、百まで。
5才の時、あなたはどんな将来を想い描いていましたか?