婚活でフェードアウト

先日、婚活をしている男友達と話をする機会がありました。大学時代の同級生である彼は、仕事や友人とのお付き合いに精を出しているうちにいつしか年齢を重ね、このままではヤバイと去年から「婚活」を始めたそう。
彼が利用しているのは、お見合いパーティーとマッチングアプリ。「良い出会いはあったの?」と聞くと顔を曇らせました。
それなりの私立大学を卒業し、大手企業に勤務する彼。スペック的には悪くありません。アラフォーという年齢も今どきのシングルとしては珍しい方ではないはずです。そんな彼が苦戦しているのはどんなことなのでしょうか。
「メッセージのやり取りとかしてて、結構盛り上がっていたはずなのに、急に連絡が途絶えたりするんだよ。デートにこぎつけるのもなかなかで。ようやく一度デートして、その後も何度かラインしてたのに、これまた急に連絡がなくなったり。」
第三者として話を聞いていると、そんな相手は無視して、良い人が見つかるまで頑張ってよ、と言うしかありません。そして、話を聞きながらかく言う私自身もかつては所謂フェードアウトをしたことがあるのを思い出し、その罪深さを反省していました。

フェードアウトという断り方

フェードアウトとは、徐々に連絡を減らす若しくは、特に断りの挨拶はなく連絡を絶ってしまうこと。大抵の人は当事者としてなにかしらフェードアウトを経験しているのではないでしょうか。
フェードアウトは時に有効なお断りの方法。自分の立場を守りながら相手のダメージも最小にしたいときに使う手段です。とは言え、このフェードアウトをされた側は件の友人のように結構傷ついている場合も。

フェードアウトが一般的に許される一つのパターンは、まだ二人きりで会ったことがない段階での辞退でしょう。マッチングアプリを利用している場合であれば、メッセージのやり取りの段階。婚活パーティーの場合は、パーティーで連絡先を交換して何度かメールやラインでやり取りをした程度の時です。
この段階では、まだお互いに手探りの状態。プロフィールや第一印象で良いかなと思ったけれど、個人的にやり取りしていると「なんか違うような。」そう思ったら、わざわざそれをお相手に伝えるのも却ってややこしいので、フェードアウトが妥当です。

もう一つ、フェードアウトが認められるのは、二人きりで会ってみたけれど「何か違う。」とお互いに思った場合です。
一度、場合によって二度ほど二人きりでデートをしたものの、これ以上は進みそうにないな、そう感じることがあります。二人ともが同じ思いから連絡を減らし、次のお誘いをしない場合はフェードアウトがこれまた妥当。わざわざお断りの連絡は不要です。
以上フェードアウトが許されるのはここまで。
お相手から何かしら提案や意志表示があった場合や、婚活の場で出会い何度か二人きりで会っていたのなら、「お断り」が必要になります。

何事においても、断ることはアプローチするよりも大変です。自分から断るということは、そこからつながる未来を手離すことで、それには決断と勇気が必要です。フェードアウトをする心理の中には「場合によっては距離を戻せる」曖昧さを残しておきたいという考えがあります。実際に戻れるか戻れないかは別として、はっきりと一度お断りしてしまうと、他の候補を取り逃がした時などに「元気?」と気楽に声をかけられません。
フェードアウトという断り方は、はっきり断らなくて良いというメリットと、キープできるというメリットがあるようです。

そんなメリットがあるフェードアウトですが、本来断りが必要な場面に使ってしまうと相手を傷つけるだけでなく、時間を奪ってしまうことにもなり、延いては怨みを買う原因にもなり得ます。

恋心が絡むと

恋心が絡むと時に人は平常心を失います。そもそも恋をしている状態は平常心ではありませんので当然です。好きな人または好きになろうとしている人のことは信じていたいし、恋する自分の身に起こることを都合よく解釈するのを、誰が責められるでしょうか。

恋心を抱いている人から「また連絡します。」と言われれば素直に信じて待つのが恋するものの通常。「忙しくて。」というセリフを聞いても、「大変ね。お仕事頑張って。」と本気で応援してしまいます。自分が恋する側であるときは誰しもそんなもの。なのに、断る側に回ったら「また連絡する」は「もうしない」っていう断り文句だとなぜ気づいてくれないの、と思ってしまうから困ったものです。

それでも、場数を経て人間としての責任と、他人の心を傷つけたくないという思いやりを広く持つようになると自然と、「思わせぶりは罪である。」と思い、相手のために断る勇気を持つことの大切さをしみじみと思うようになります。

しかし、大人になっても自分から断らない人、いえ断れない人もいます。そしてそんな人に恋してしまったらもう不幸としか言いようがありません。

断らない罪

お付き合いがスタートする以前であっても、お誘いがあった場合でその気がないのであれば、適当にとりなして振り払うのではなく、お断りするのが本来はマナーです。
ましてや、交際を申し込まれた場合や実際に交際がスタートしていた場合は、そのお付き合いがまだ浅くても、終了する場合にはきちんとお断りが必要です。

以前、お付き合いしていた人から「しばらく距離を置きましょう。」と言われそれきり連絡が取れなくなった経験があります。それを「音信不通になる」と言うのだとか。音信不通にされた方としては、はっきりと断られた訳ではないので期待を持ち、切り替えが出来ぬまま無駄な時間をしばらく過ごすことになったりします。手袋をどこにしまったのか忘れ、探している間は諦めるに諦められず次の手袋を買えないでいるようなもの。
たぶんこのお相手は、断り(別れ)を切り出すことで想定できる修羅場が面倒で、それを避けるために「音信不通」という手段を選んだのでしょう。

断る側の立場で考えれば、フェードアウトはなかなか良い方法なのですが、断られる方に立つと何一つメリットはありません。断り文句の代わりにフェードアウトを選ぶ人は、相手の気持ちを測ることのできない未熟で責任感の無い人と言っても言い過ぎではないでしょう。

断り方にこそ本性が見える

恋にしろ仕事にしろ、アプローチをかける時は誰でも一生懸命に自分の良いところを見せようとします。そんなセールストークでその人の本性を見抜くのは至難の業。
人間性が現れるのは自分にとって不利なことや面倒なことが振りかかった時の対処方法です。
最初は素敵と思ってがんがんアプローチしたけど、ちょっと仲良くなってみるとなんだか違ったみたい。向こうはその気になってるみたいだけど、面倒くさいな。そう思った時にその人の人となりが出てきます。

それでは、お付き合いをしていてお別れの時まで本性がわからないのか、と言えばそうでもなく、それは普段の会話や態度に散りばめられていたりします。ラインなどのメッセージをたびたびスルーしたり、電話の折り返しをしてこないなど。
返事が不要のメッセージであっても、リアクションするのが恋人同士の通常です。電話の場合などは緊急性がある場合もあるので手が空いた時に折り返すもの。忙しくてメッセージの返信を忘れていた、ということもありますが、その場合は時間が開いても何かしらフォローをいれるでしょう。日常に起こる「面倒」を避けようとする人が、大きな面倒を受けて立つことはありません。断ることができない本性を持つ人は、日常の中にもその片鱗を見せています。

断りには勇気と責任感が必要。逆に言えば、断れない人は勇気も責任感も薄い人と言えます。男女間においては、自分が社会人として恥ずかしくない人間でいるために、きちんと断れる人でありたいものです。

という訳で、婚活でフェードアウトされ嘆いている友人には、そんな人とお付き合いに至らなくて良かったのよ、もっと良い人が必ず現れるよ。と心からエールを送ろうと思います。