先日、一年前に多肉の寄せ植えをプレゼントした友達に「その後元気にしてる?」と聞くと、「みんな大きくなって茎がひょろひょろになっちゃった」とのこと。また、植物に全く関心のない兄は知り合いから鉢植えの苗をもらい、面倒臭いのでそのまま裏庭に放置していたら鉢底から伸びた根がそのまま地面に根を張り、鉢を破壊して巨大化しもはや動かすことすらできなくなってしまったとか。(こわいですね~)
植物は生きているので、当然のことながら成長します。植物を育てた経験がないと、置いておくだけで買ってきた時やもらった時の状態をずっと維持できると思いがちですが、これは大間違い。放っておくとやがて形は崩れ、様々な問題が発生します。多肉植物がいつも元気でいられるように、成長に応じて植え替えをしましょう。

植え替えが必要なのはどんな時?

やみくもに植え替えを繰り返すのは根に負担がかかり、植物を弱らせてしまう原因になるので、必要に応じてベストなタイミングで植え替えをするのが理想です。植え替えが必要になるのは次のようなときです。

ホームセンターや雑貨屋さんなどで購入した苗

有名どころの多肉専門店や多肉農園さんで購入した場合を除き、ホームセンターや100円ショップ、雑貨屋さんなどに並んでいる多肉植物はあまり土の状態が良くありません。そのような苗は価格を安く設定するために、土にまで手が回らないもの。また、お店の管理が悪いとすでに害虫がいる場合もあります。なるべく早く多肉植物専用土に植え替えましょう。

表面の土をカチカチに固めてあるもの(ネルソル)は、インテリア性重視なので長く育てるには向きません。植物の成長に特に影響はないと言われていますが、水やりの度にいちいち鉢ごと水に浸けないといけないのも面倒。元気がなくなってきたり茎や枝が伸びてだらしなくなってきたら、鉢をたっぷりの水にしばらく漬けて土を溶かし、割り箸などで丁寧に根をほぐしてから苗を取り出して植え替えましょう。

一年以上植え替えていない苗

多肉植物の根は、鉢の中で私たちの想像以上に成長しています。下葉が落ちて葉っぱが黄色っぽくなったり、何となく元気がないような気がして鉢をひっくり返してみると、根っこでびっしりになっていることも。また、土は古くなるにつれて固くなり、栄養や保水性が失われて雑菌が繁殖しやすい状態になるため、そのままにしておくと根腐れを起こすこともあります。多肉植物の植え替えは1~2年に一回と言われていますが、苗の様子を見て成長が著しいようなら(鉢底から根が出ているなど)鉢から取り出して古い根をカットし、新しい土に植え替えます。苗を大きく育てたい場合は、一回り大きい鉢に植え替えましょう。

害虫が発生した苗

害虫が発生すると、茎や葉だけではなく根の部分や土の中に害虫がいることがあります。そうなると、鉢に植えた状態で見える部分だけを駆除しても、苗は弱っていく一方です。害虫が発生したら、思い切って苗を取り出し虫を洗い流して根を乾燥させ、鉢底石や鉢もよく洗って日光消毒してから再度新しい土に植え付けます。

植え替えに最適な季節は?

多肉植物は、春・秋型、夏型・冬型など、品種のタイプによって成長の時期が変わってきます。その苗がどのタイプに属するのかを確認し、成長期に植え替えをするようにしましょう。

植え替えに最適な土選び

ひと言に「多肉植物専用土」と言っても、メーカーによって特徴が違います。お店によって取り扱うメーカーも違うので、私は2~3軒のホームセンターを回って、植え替える苗の性質や植え替え時の状態によって数種類の培養土を購入し、使い分けたりブレンドしたりしています。

保湿性が欲しい時

・ハイポネックス・ジャパン

ハイポネックス

植物愛好家には言わずと知れた園芸用品専門店「株式会社ハイポネックスジャパン」の多肉植物用土、その名も『土づくり名人がおすすめするアロエ・多肉植物培養土』。
こちらはピートモスで保水性を高めると同時にパーライトで水はけを良くするように考えられて作られたようで、多肉植物の根つきが良くなるので葉挿し苗やカット苗のまだ根っこがしっかりしていないような状態の苗を植える時はそのまま使っています。

とにかく水はけをよくしたい時

・グリーンプラン

グリーンプラン

グリーンプランから出ている『サボテン・多肉植物の土』。堆肥もしっかり配合されていてこのお値段は、有名メーカー品に比べてかなりお買い得感があります。軽石やパーライト、牡蠣殻石灰配合でいかにも水はけ重視という感じ。鉢底に敷いて排水効果を上げたり、表面に敷けば飾り砂替わりにもなるのでインテリア性もありますが、これだけだと根の浅い苗はちょっと安定性に欠けるかな、という感じです。
サボテンはこの土だけで元気に育っています。

バランス調整に

・赤玉土(小粒)
市販の多肉植物専用土だけでは物足りない時は、ホームセンターや100円ショップで売っている小粒の赤玉土や川砂を混ぜ込むという方法もあります。赤玉土は雑菌の発生を抑え、排水性をよくする上に適度な保水性もプラスしながら害虫の発生をある程度予防する効果もあります。
赤玉土は時間の経過とともに水分を吸って元の土に戻り、水はけが悪くなってくるので、定期的な植え替えが必要になります。

・川砂
川砂には植物の成長に必要な栄養分が含まれていないため、それだけで使うことはありませんが、水はけを良くしたり雑菌が繁殖しにくくなるというメリットがあります。湿度が高い季節や害虫が気になるときは、多肉植物専用土に適量を混ぜ込んでみるといいでしょう。(1~2割程度が目安)
水はけがよいため水や肥料を与えてもすぐに流れたり乾燥しやすくなるので、配合する量に応じて水やりや肥料の量の調整が必要になってきます。

・複数のメーカーの多肉植物専用土をブレンド

私は通常の苗の植え替えではハイポネクス6:グリーンプラン4くらいの割合でブレンドしています。このバランスが私的には苗も安定し排水も良好。ただし、害虫が発生しやすい品種を植えるときは、排水性の高いグリーンプランを多目にしてさらに川砂をプラスします。梅雨時などじめじめした季節は鉢の表面に小粒の赤玉土や川砂を薄くひいたりして、苗の状態や体質に応じて配合を変えるようにしています。

用途に応じた鉢選び

多肉植物を植え替えるとき、どんな鉢に植えるかによっても育て方や楽しみ方が違ってきます。植える品種や目的に応じて、鉢選びも楽しみたいですね。

慎重に育てたいとき

高価な品種、初めて育てる品種は枯らさないよう慎重に育てたいもの。そんな時におすすめなのが、素焼きの鉢とスリット鉢です。

・素焼きの鉢(テラコッタ)

素焼き鉢

素焼きの鉢は表面に小さな穴が開いていて、通気や排水性が優れているためデリケートな品種におすすめです。特に多肉植物が苦手とする高温多湿の夏場は、素焼きの鉢に植えておくと植物も快適に過ごすことができます。

・スリット鉢

スリット鉢

プラスチック鉢の一種です。鉢底はもちろん側面にも切れ込みが入っているため、通気が改善され成長によって伸びた根っこが巻くことなくまっすぐに伸びるので、根詰まりが起きにくいとされています。低価格でお財布に優しいのと、軽くて鉢の移動が楽なので私も愛用しています。カラーは白、黒、緑、茶色など。夏場は気温や照射の影響を受けにくい白、冬場は蓄熱効果がある濃い色と、使い分けによって多肉植物の健康管理に役立ちそうです。

とりあえず植えるとき

・プラスチック鉢

プラ鉢

価格が安く形や色のバリエーションが豊富なので、気軽に鉢選びが楽しめます。デメリットは通気や排水性が悪く、色によっては暑さや寒さの影響で苗を痛めやすいこと。デリケートな品種は真夏と真冬は置き場所を工夫するか、素焼きの鉢に植え替えを。

可愛くおしゃれに楽しみたいとき

・ブリキの鉢

ブリキ鉢

空き缶を利用して手軽にオリジナルの鉢作りを楽しめたり、見た目も多肉植物と相性バッチリなので大人気ですが、欠点はプラスチックよりもさらに外気が伝わりやすいこと。通気も悪いので、強い日差しや冷え込みに苗が耐えられず枯れてしまうことも。遮光や保温を工夫し、置き場所に気を付けて丈夫な品種を選んで植えるようにしましょう。

・陶器の鉢

陶器鉢

どことなく温かい印象を与えてくれる陶器鉢。インテリア性が高いので、玄関先に置いたり、リビングのインテリアとして植えるのにおすすめ。プラ鉢やブリキ鉢に比べれば外気の影響は少ないですが、素焼き鉢より通気や排水性は劣ります。植えた後は苗の状態をよく観察することを忘れずに。

いざ、植え替え!

植え替え

準備ができたら早速植え替えです。春・秋型の品種は今の時期(4~5月)に植え替えをしておきましょう。苗だけでなく色々な土や鉢の特性を理解して植え替えをすれば、夏場に発生しやすい根腐れや害虫などのトラブルも、ぐっと少なくなるはずです。古い根の処理などちょっとドキドキかも知れませんが、こればかりは「習うより慣れろ」。レッツ、植え替え!