日本古来のボードゲームの一つが将棋です。定期的にブームが訪れ、近年の将棋ブームで関心を持たれている方も多いのではないでしょうか。将棋の駒の動かし方や定跡、王将の囲い方など、いざ将棋を指そうとすると覚えることは色々とあります。

もちろん、これらを覚えることも将棋の醍醐味といえるのですが、観るだけでも将棋を楽しむことは十分に出来るのです。

推しの棋士や神の一手・観る将棋のスタイルも多種多様

「ルールもよく分からないのに将棋を観戦していて楽しいの?」と思う方もいるかもしれませんね。確かに、ルールや指し方を知っていると観戦にも力が入ることは間違いありません。しかしながら、プレイしたことのないサッカーやダーツ、ビリヤードなども完全にルールを把握していなくても、観ているだけでもエキサイトした経験はないでしょうか。

将棋もおなじで、実際に対局している棋士の表情や仕草、解説者と聞き手の軽快なやり取り、画面に流れる他のギャラリーの面白いコメントなどで楽しむことが出来ます。ちょっと堅苦しく、敷居の高いイメージがあった以前と最近の将棋では、観戦スタイルが大きく様変わりしていると言えるでしょう。

「観る将」というワードが出来るほど、将棋の観戦だけを楽しむ人々が増えたのは、インターネットによる配信が増えた為と言えるでしょう。ラジオやテレビなどの地上波がメインでしたが、最近ではネット配信によりパソコンやスマートフォンで気軽に対局を観戦出来る環境が整っています。

純粋に将棋の勉強として観戦するも良し、推しの棋士の表情や仕草を追うのも良しと、配信媒体の増加に比例して観る将棋の楽しみ方も多様化しているのです。

観るだけでも将棋が上達するのは何故?解説から学ぶ将棋の指し方

対局を観戦しているだけでも将棋の知識は増えていきます。もちろん、実際に指している訳ではないので実戦の感覚は掴めませんが、駒の動かし方や局面における考え方を知る機会に触れることは出来ます。

将棋は、基本的に9×9の81マスの将棋盤と40枚の駒を用いておこなうゲーム。定跡や戦法、手筋など覚えることは色々とあります。本来、定跡や手筋などを覚えていくことは、将棋の楽しさの一つでもある訳ですが、始めて間もない方にとってはハードルが高いことも確かです。

将棋初心者にとってプロ棋士達の指し手の意味は、なかなか理解しがたいものですね。このとき、指した手の意味を分かりやすく伝える存在が解説者です。解説者は主にプロ棋士が担当していますから、盤上で棋士が指した手の意味を説明してくれたり、局面において最も良い手(最善手)を予想したりしてくれます。

持ち時間の少ない早指し対局は別として、タイトル戦など棋戦の対局は長時間に及びます。棋士は自分の持ち時間がなくなるまでに一手を指す訳ですが、局面によっては一手を指すまでに、数十分から一時間近く考える場合もあり、観ている方もさすがに集中力が続きません。

このような場合には、解説者とアシスタント的な役割を担う聞き手の軽妙なやり取りが観ている人達を楽しませます。ふだん知ることのないプロ棋士同士のエピソードやサッカーや競馬、アニメなど趣味の話で盛り上がります。

観る将の醍醐味は将棋空間全体を楽しむこと

観る将とは基本的に将棋を指さない将棋ファンのこと。将棋を難しく捉えるよりも、プロ棋士が見せる人間らしい表情や将棋メシなど、将棋空間全体を楽しむスタイルです。

開始時間ギリギリに寝癖のまま対局室に飛び込んできたり、悪い手を指した瞬間「やっちまった」感全開の表情を浮かべたりなど、コンピューター将棋では見ることの出来ない光景と言えるでしょう。

観ているファンも「あっ寝癖、アンテナ立ってるから今日は勝ったな」とか、悪手を指して焦っている表情に「やっちまった感を出すんじゃない!」とツッコミをいれるので、画面に流れるコメントだけでもニヤニヤしてしまいます。

タイトル戦の将棋では「おやつタイム」があります。棋士がメニューの中からチョイス出来るのですが、この光景が何ともシュール。熱戦を繰り広げていた棋士が向かい合って黙々とおやつを食べるシーは、そうそう目にすることは出来ない場面でしょう。

魅力の溢れる棋士が多過ぎて全ての棋士を紹介することは出来ませんが、将棋界における有名な方を数名ご紹介しておきましょう。(推しの棋士に触れてない場合はご容赦下さい)

羽生善治棋士、7つのタイトルを独占した将棋界初の人物。名人や竜王など一つのタイトルを取ることでも凄いことなのに、27年ぶりに無冠となるまで防衛を続けました。タイトルホルダー時代は、「羽生さん、衰えたな。でも三冠」などのコメントがファン同士のお約束。

好手や決め手を指すときに指先が震えることがある為、「ちょいプル」や「プルッたから勝ち」とコメントが流れだし、うっかりミスをしない限り勝利を納めます。ドキュメンタリー番組や将棋解説者としての登場時には自然体でお洒落な姿で現れますが、対局室ではアンテナを立てたり、おやつタイムで「バニラアイス事件」を発生させたりする人物でもあります。

藤井聡太棋士、若手とは言っても将棋界の新星としてマスコミに取り上げられたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。将棋界の新記録を次々と塗り替えた棋士として知られています。

プロ棋士になる為の奨励会三段に史上最年少(13歳2か月)で昇段し、14歳2か月で四段へ昇段プロ入りを果たします。藤井棋士以外にも中学生でプロの棋士となった人物はいますが、それまでの最年少記録は加藤一二三(ひふみ)元棋士が持つ14歳7か月。

現役は離れましたが将棋界のレジェンドとして知られる加藤一二三氏の最年少棋士記録を62年ぶりに更新したのですから注目されないはずがありません。藤井棋士の新記録更新ラッシュは留まることを知らず、2017年度にはデビュー戦以来無敗を続け前人未到の29連勝、歴代最多連勝記録を更新しています。

この他にも、中学生棋士で通算50勝の史上最年少記録を15歳4カ月で更新、プロ対局通算100勝の最年少記録を16歳0か月で更新。藤井棋士に更新されるまでの最年少記録は、先ほど紹介した羽生善治棋士が持っていました。

加藤一二三(元棋士)、現在はバラエティー番組に出演し「ひふみん」の愛称で呼ばれていますが、将棋界においては数々の伝説を残した人物です。「神武以来の天才」や「1分将棋の神様」の異名で呼ばれていたのですから、プロ棋士の中でも実力はトップクラス、名人のタイトルも獲得しています。

加藤氏が19世紀から21世紀にかけて公式戦で戦った唯一の棋士、だからこそレジェンドと呼ばれていることには異論はありません。しかしながら、「ひふみん」の場合は一般的な解釈では捉えきれない伝説から呼ばれていると言えるでしょう。

「対局中の将棋メシは鰻重が基本」「解説者の時には一人で喋り、聞き手や他の人に喋らせない」「対局時には長いネクタイで挑む」「一手指すのに7時間」など、語り継がれている伝説は数知れず。もちろん、加藤氏には理由があってこのような行動をしているのですが、あまりにも独自性が高すぎるので、印象深く残ってしまう訳ですね。

観る将言語の中でも頻繁に使われるのが「ひふみんアイ」。これは、席を外した対局者側から盤上を見た加藤氏の行動が由来の言葉です。自分側だけでなく、相手側から見ることによって気が付かなかった指し手を知る訳ですが、反則でなくても結構度胸のいる行動です。

この行動を解説に応用したのが「ひふみんアイ」、大盤解説の途中で盤を回転させ上下逆さまにします。劣勢と思われた側から盤上を見てみると「まだまだ、大丈夫じゃない」や「逆にこれ勝ってね」などのコメントが流れ、解説者も「ごめんなさい。劣勢どころか優勢ですね」と苦笑いするシーンも。

周囲を驚かせた行動が後に観る将棋の定番に受け継がれる、不思議というか面白い現象です。まだまだ、「陣屋事件」「将棋メシ」など将棋の面白さ、観る将棋の楽しさは伝えきれませんが、またの機会があればと存じます。難しく考えることなく将棋を観戦し、是非「観る将」の一人になって下さいね。

 

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