3年連続、抱かれたくないグルメ家1位に輝いたアホな中年ハック・フィンがお届けするグルメリポート第4弾。
ついに、出川哲朗の背中が見えてきましたよー。

実は、私ハック・フィン。
こう見えて(って、見えなくね?)、とっても病弱なのである。
ところが、かかりつけのお医者さんが大病を患われたようで、しばらく休診するという緊急事態に。
そこで、仕方なく以前通っていた総合病院に行くことにする。
その病院がある地域は結構な田舎町で自然豊かなこともあり、近くの森の中に雰囲気の良い公園がある。
お昼前に診察が終ったこともあり、寄り道して少しお腹を空かせようと、木立に囲まれた遊歩道を歩くこと10分弱。
大きなため池があるではないか。
しかも、齢80過ぎのご老人が独り、何とも言えぬ佇まいで釣り糸を垂らしている。
「釣れますかー」と馴れ馴れしく話しかけるハック・フィン。
「いやー、全然だな」と気さくに答えるご老体。
「釣れねーから、昼飯にでもすっか」と言いながら、お弁当を広げ始める。
私ハック・フィンは、このアバウトなおじいさんが一発で気に入ってしまう。
しかーし!ご老人が昼飯を堪能しようとしているというのに、某が手をこまねいて見ているわけにはいくまい。
かねてからのプラン通り、昼食を食べに行くとしよう。
午後も引き続き、釣りを楽しむというご老人に再会を誓いつつ別れを告げ、車を走らせる。
何を隠そう、この病院に来ると決めた時から、ハック・フィンの心は一つ。
そう!少し足を伸ばして、鰻を食べることしか頭にない!
これだけを心の支えに、病院という名の憂鬱な監獄の中で雌伏の時を過ごしたのだから。

~流浪のグルメスタート~

音に聞こえたうなぎ屋へ

久しぶりに行くので、例の如く方向音痴の才能を遺憾なく発揮し、道を間違えるも何とか無事到着。
12時50分頃に暖簾をくぐると、お客さんはそこそこの賑わい。
いつもの女将に、見晴らしの良い窓際の席を案内される。
相変わらず、映画「ネバーエンディングストーリー」に出てくるファルコンのような顔である。ここは、おとぎの国なのだろうか?と一瞬錯覚してしまう。
晩秋を感じさせる良く晴れた青空が、何とも心地良い。
胸踊るような昼下がりとは、このことである。
女将がお茶を持って来ると、すかさず「うな重の竹 ご飯大盛」を注文。
その電撃の如き注文に狼狽を隠せない女将だったが、何とか平静を取り戻すと大将にオーダーを伝えたようだ。
参考までに、うな重の「松」は3,200円で、「竹」は2,600円。ご飯大盛は無料。
なので、迷うことなく、ご飯大盛を頼んだのである。
生き馬の目を抜く世知辛い平成の世を渡っていくためには、これぐらいの狡猾さがなければならぬ…。
しかし、その余計な炭水化物が、確実に私の内臓脂肪へと変貌を遂げるのだ(涙)
「竹」でもかなりの鰻のボリュームなので、貧乏中年には十分ですな。
今後の余生のために、NISAの本を読むこと30分。
ついに、うな重のお目見えである。
窓から覗くどこまでも澄み渡る青空が、より一層食欲を駆り立てる。

真打「うな重」とのご対面

うな重の蓋を取ると、なんとも良い匂いが漂ってくるではないか。
この店は鰻の卸直営店らしく、身もプリプリで評判だ。
流浪のグルメ家ハック・フィンは、そんなことまでお見通しなのである。
※つい15分前に、ガラケーで食べログの書き込みを見ただけのことなのだが…。

オッと!このハック・フィンとしたことが、フライングしそうになる。
うな重には、まず山椒を掛けなくては!
「焦るなハック。鰻は、どこにも逃げませんよー」と逸る心を落ち着かせる。
まずは、鰻を一口。
「ウヒョッ!」思わず心の中で、ひふみんこと加藤一二三のような叫び声をあげてしまう。
身がふんわり柔らかく、口の中でとろけて無くなっていくではないか!
「お前、マシュマロかよ!」と、三村マサカズならツッコむに違いない。
たっぷりと鰻のタレがかかった白飯との相性も抜群。
まさに、白飯のおかずとしての使命を受け、この地上に降臨したタレと鰻。山椒もピリッと小気味良く、もはや日本の伝統文化と言っても過言ではないだろう。
ユネスコに世界遺産として認定される日が来ても驚けまい。
続いて味噌汁へ。
手順としては、まず汁物に口をつけてからがセオリーだが、つい先走って鰻から入ったのは反省しなければ。
やはり、まだ、放牧明けのオルフェーヴルのように気が逸っているようだ。
味噌汁と言うには大き過ぎるお椀の蓋を取ると、具はしじみのようである。
味噌汁というよりは、吸い物といった風情か。
失念していたが、この店はしじみ問屋でもあったのだ。
流浪のグルメ家ハック・フィンは、そんなことまでお見通し…(2番煎じにつき以下自粛)。
鰻の卸直営店のみならず、しじみ問屋も兼ねる上、さらに食事処という、一人三役をこなすこのお店。
恐るべき手練れの記憶が、ハック・フィンの脳裏を駆け巡る。
しじみ汁の吸い物に口をつける。
すうっーと、薄味で温かい上品な味が、体の中に染み込んでいく。
うな重が破壊力抜群のハードパンチャーならば、こちらは優雅なフットワークで華麗に舞う技巧派といった趣であろうか。
お椀の中のしじみも食べてみる。
安い居酒屋のしじみは泥臭く嫌な味がするのだが、ここのしじみには全くの杞憂だ。
しじみ問屋の看板に偽りなし。しじみを食べるのに夢中で全部食べてしまう。
これでは、鰻を食べに来たのか、しじみを食べに来たのか分からないですな…。
再び、うな重を食してみる。
うーむ。しじみも美味いが、やはり、うな重こそ我が悲願!
うな重に心を奪われ視界から消えていたが、沢庵ときゅうりの漬物もあるではないか。
濃厚な味のうな重には、あっさり味の漬物が良く合う。
生ける伝説ジネディーヌ・ジダンには、マケレレという名脇役が必要不可欠だったように。
そして、最近の私の心の友とも言うべき冷奴も膳の上で、静かにその時を待っている(その時って、一体どの時だ…)。
この「うな重 竹」の最後の役者には、ハック・フィン好みの出汁の効いた甘味のある醤油がたっぷりかけてある。
何と贅沢な豆腐醤油の使い方なのだろう。
薬味として冷奴にそっと寄り添うおろし生姜が、この醤油と良くマッチしており、お互いの良さを引き出している。1+1が3にも4にもなる典型だろう。
味もさることながら、この店の最大の魅力は、しつこいようだがご飯大盛が無料になる点だ。
これだけ鰻が美味しいと、ご飯が大盛でなければ、とてもじゃないがブレーキの壊れたダンプカーと化したハック・フィンの胃袋を満足させることはできまい。
むしろ、大盛でも物足りないぐらいである。
だが、それが良い。
しじみの具の全てを、そして白飯の最後の一粒まで完食。
たった一つの心残りは、食べ終わった冷奴の皿の底にまだタップリとその姿をたたえている豆腐醤油を持ち帰れないことである。
豆腐につける醤油だれ史上、最高のパフォーマンスを誇る匠との別れ。
ここでも、会者定離の理を感じずにはいられないハック・フィンであった。

帰路にて

うな重という極上の宴を堪能したハック・フィンであるが、この孤高のグルメ家(単なる食いしん坊ともいう)の舌は、まだ飽き足らない。
聡明な読者の皆様ならお分かりですよね!?
そう!デザートを食べなくちゃ!
というわけで、ソフトクリームを買うべく、いきつけのサービスエリア風の店に立ち寄る。
私のお目当ては、夕張メロンとバニラのミックスソフトなのだが、こともあろうか!メロンがイチゴに変わってしまっているではないか!
このハック・フィンの許可なく、なんという狼藉を…。
残念無念。
しかし、くじけない男ハック・フィンは四十面を下げながら、「バニラのソフトクリームをくださいなー」と、暇そうなお姉さんに高らかに注文するのであった。

 

料理好きが集まる婚活イベントはこちら!