どうもこんにちは!
古本屋さんで「SAS(イギリス陸軍特殊空挺部隊)サバイバル・マニュアル」なる本を見つけ、「このコラムの読者諸氏にサバイバルのテクニックを伝授しなければ!」との熱い思いに駆られて読み込んでおります。
前回は、キャッキャウフフとデートしている最中にグンマーに捕虜として捕獲され、そこから脱出、捜索するグンマーを回避しつつ自らの生存をかけサバイバルへの第一歩を踏み出す、という内容でしたね。(お願い、刺さないで)
サバイバルへと踏み出したあなたへ、本書は具体的なアドバイスを授けてくれます。
第五章 応急処置
行動中、ふいに怪我をしてしまうことはよくあることです。キラキラしたリア充のおデートなら、ちょっとくらい血が出ても「だいじょーぶ?バンソーコー持ってるよ♪」とかなんとか言っちゃって何とかなるんでしょうが、ここはサバイバルな世界。武装した千○県民が都民を目の敵にし、竹やりを持ったグンマーが跋扈する戦場です。リア充が持っているちゃちなバンソーコーごときでは対処できない怪我をするかもしれないし、そもそもバンソーコーなんか手に入りません。
骨折をはじめ、窒息や低体温症への対処法が紹介されていますが、ワタクシ的に気になったのはやはり、毒虫・危険生物への対処です。ワタクシ、爬虫両生類を狂ったように偏愛する「ハペ屋」としてもコラムを書かせていただいてまして、ハペ屋的には、こういう本での毒ヘビへの認識や記述が大変気になるわけです。いいかげんな本だと、ヘビは執拗に追いかけてくるとか、咬まれたらなかなか離れないけど水没させればすぐに離れるとか、聞きかじったようなことばかり書いているわけです。ちなみにこの二つは両方とも迷信ね。執拗に追いかけてくるほどヘビは賢くないし、咬まれたら水没させたくらいじゃ離さないし、そもそもそんなにずっと噛みつきっぱなしでもないし。
で、本書ではどうかというと、冒頭で「ほとんどの人がヘビを恐れ、サバイバルでは蛇に遭遇するのではと恐れているが、これは大げさな思い込みである」「実際のところ、危険な毒ヘビは全体の10パーセントに満たないし、人を恐れているからあんまり出くわさない」という趣旨の記述がされています。おおっさすがはSAS!爬虫両生類偏愛狂信者的な視点で見ても正しいぞ!
そして、対処法もさすがというほかありません。ポイントは2つ、「体内の毒の量をできるだけ減らすこと」「毒の回る速度をできるだけ落とすこと」と、的確な指摘がなされています。ときどきマンガのイケメン野郎がやるように口で毒を吸い出すと、口の中の組織から毒が吸収されることもしっかりと記載されています。さらに、咬んだヘビを見て「うーん、こいつはブラックマンバだね♪」(編集部註:グンマーに囲まれた中でブラックマンバに噛まれたら命がいくつあっても足りません)と瞬時に種類を判別できるハペ屋がサバイバーとは限らないことも考慮し、「咬まれて対処した後15分経過しても、傷口の痛みや頭痛がなければ、それは毒ヘビではない」と明確な基準も示しています。すばらしい!
第六章 水の確保
続いて紹介されるのは、水の確保。飲料水を得られるかどうかというのは、生存のためのもっとも重要なラインです。脱出時に持ち出した水で持ちこたえられるとも限りません。というか、たぶん無理です。そのため、ここでは周辺環境から水を得る方法をいくつか紹介してくれています。
ボクちゃんミネラルウォーターしか飲めないもんね♪とか言っているヘタレはサバイバルな状況では2秒ともたないので、見つけた水はできるだけ利用しなければいけません。
まず紹介されているのは、浄水器の作り方。これも記述が秀逸で、ある程度細かな砂などを筒状のものに詰めれば、とりあえずそれで浄水器になるんですよ。何を入れるか、にこだわる人もいますが、そこにこだわるよりもとりあえず「利用できる水」を作ることを急ぐわけです。そして、ろ過した水は5分煮沸します。生物汚染を防ぐためですね。
また、環境から蒸留水を得る方法も紹介されています。いずれにしてもナイロンシートが必要なのですが、たとえば植物をナイロンシートで被えば、蒸散した水分を集めて水を得られるわけです。ある程度大きなシートが手に入れば、地面に穴を掘り、地面から蒸発する水分を集めることもできます。この蒸留装置の周りにおしっこをかけ、水として回収する方法が「マスター・キートン」でも使われてましたね。やっぱり正しかったんだ、キートン。
ただし、実際にこの方法で飲料水を得た人によると、この水を飲んでも健康を害することはないものの、臭いはソレそのものだそうです。そういえば、アンモニアは水へ溶け込みやすい物質ですからね。まぁサバイバルだし、仕方がない。
第七章 退避所
さぁ、聞きなれない言葉が出てきました。退避所。何のことかと読み進めると、すぐにシェルターという言葉が出てきます。なるほど、シェルター、つまりテントみたいなものです。水を得るにしろ、敵に見つからないよう潜伏するにしろ、隠れ家が必要、ということです。怪我や病気があれば治癒するまで休息をとる場所が必要だし、睡眠をとる場所も必要です。そういう場所のことです。ちなみに、登山をする人ならビバークという言葉を知っているはずです。あれですね。
当然のことながら、オサレなログハウス作りなどは紹介されていません。まずは置かれた周囲の環境と自分の体力や装備をよく観察し、簡単に作れて、なおかつある程度機能的なシェルターを作りなさい、と書かれています。倒木の影を利用する、低木の枝をアーチ状に結んでカマボコテントを作る、竹を格子状に編み、木の枝や落ち葉を絡ませて風よけにする、など、多くの方法が紹介されています。「そのシェルターにどのくらいの期間留まるつもりなのか」によっても、作るもののボリュームが変わってくるでしょう。
第八章 火
爬虫両生類偏愛狂信者であると同時に「全日本焚火はやっぱり地面で直火だよね連合」組員のワタクシとしては、この章も非常にワクワクするのですよ。
早速冒頭で、「火は、サバイバルで最も重要となる手段だ」と書かれています。そーだそーだ、いいぞいいぞ!
基本的な考え方として、火は「熱」「燃料」「酸素」で構成されていて、この三つがそろわないと起こり得ません。そして、最初の火はたいてい、ごく小さなものでよく、それを少しずつ大きくしていけばいいわけです。手元にマッチやライターがあればしめたもの。火口となる素材に火をつければ、あとは大きく育てるだけです。前のコラムで「女性用のタンポンが優秀な火口になる」と書きましたが、それはここで生かされるのです。火口に大切なのは、繊維状で着火しやすく、よく乾燥していること。ただし、すぐに燃え尽きちゃうから、なるべく早くもう少し大きな燃料、たとえば薪なんかに火を移してね、ということなのです。
そして、一度火を起こしたのなら、その恩恵を余さず使い切るように、とも書かれています。自らが温まり、服を乾かしつつ、食糧の調理や水の確保を急ぐ、と。さらに、この火で他の火口をよく乾かしておけば、次に着火するときにも生かせる、と。日頃、焚火と言えば火柱を上げて奇声を発するしか能のないワレワレ極右焚火連盟としては、己の在り方が恥ずかしくなりますね。戒めなければ。そのイマシメを形にするべく、近いうちに焚火しに行こっかなぁ♪
というわけで、SASサバイバルマニュアルの続きをお送りいたしました。「こんなフザケたこと書きやがって、けしからん!」と怒られない限りは、次回もあるよ!
(編集部註:けしからん、イマシメで全1000回のシリーズ化を命じます)