動物園で「ヘビクイワシ」という鳥を見つけたとき、ヘビクイワシそのものよりもヘビクイワシが食っているヘビの種類が気になってしまうハペ屋なgekcoです。
どうもこんにちは!
毎度、需要があるのかないのかわからないハペな駄文の始まりですが、今回は変態トカゲの1種、ハーティアシナシトカゲについて、アツく語りたい!

変態ってのは、ヘビだけではないのだよ

以前、「変態ヘビ」についてのコラムを書かせていただきました。その中で、「変態ヘビとは、“ワシもうこのヘビでないと満足できんもんね。このヘビ飼うためなら内臓くらい売っちゃうもんね”という危険極まりない狂気の変態ハペ屋が飼うヘビである」という趣旨(あくまで趣旨)の説明をしました。そう、ポイントは「飼ってる人は変態だけど飼われてるヘビは変態ではない」というところです。
では、変態「トカゲ」はいないのか。まぁ、トカゲで変態と呼ばれるものはそう多くないんですが、トカゲの場合は「その存在が変態的」なトカゲを指すことが多いんですな。
そんなキワモノカテゴリーの中でもひときわ目を引くのが、今回の主役「アシナシトカゲ」の仲間です。

「ヤツ」との出会い

ワタクシがハペ屋化し始めたころというのは、大きめの熱帯魚屋さんの一角に爬虫類コーナーがある、というのが一般的でした。
よく行きつけの熱帯魚屋さんの爬虫類コーナーに通っては、トランペットを見つめる少年のごとき眼差しでヘビやトカゲを見つめていたもんです。

そんなある日。
値札のついていないプラケースがひっそりと置かれていることに気付いてしまったんですな、ワタクシ。
まぁ、変態ヘビのコラムを書いちゃうくらいの変態なので、そういうのには真っ先に飛びつくわけです。しかし、どう見ても土が入っているだけのプラケにしか見えない。
勝手に開けてほじくるわけにはいかないので、仲良しの店員さんに声を掛けました。
「すんません、これ何すか?」
「ほほう、見つけちゃったかぁ(ニヤァ」
ピンセットでほじくってもらうと、ヤツは出てきました。
ボコボコ、ズオォォォォォ!って感じでご対面です。
顔はトカゲで動きも硬い、でも足がない。
そう、こいつはアシナシトカゲ!

でも当時、ワタクシが知っていたアシナシトカゲはヨーロッパアシナシトカゲだけでした。ヨーロッパは肌色に近い黄褐色で、ところどころに茶色っぽい斑紋があります。
余談ですが、アシナシトカゲの中でもダントツにキモチワルイのが、ヨーロッパアシナシトカゲです。
肌色に近い黄褐色に茶色い斑紋、というのが、血色の悪い肌に浮かぶシミのように見えます。そして、ガンを飛ばすような目つきの悪さと、スキンヘッドのような質感の頭が相乗効果をもたらし、「鉄砲玉歴ウン十年の下っ端ヤ〇ザ」みたいな、やばい雰囲気を持っているのです。ちなみに、ワタクシは大好きです。

しかし、目の前に現れたソレは、どう見てもヨーロッパではありません。
顔の横に発色した水色がキレイ。
顔もどことなく上品な雰囲気。
色合いも上品なベージュ色。
ヨーロッパの幼体がこんなカラーリングですが、ちょっと違う。

「おじさん、これ何てアシナシ?」
「それがな、俺にもわからねぇんだよ(ドヤァ」

きた!!
正体不明のアシナシトカゲ!!

こういうの、がぜん燃えますよね!
お値段もお手頃価格(そもそも書いてなかったけど)だったので、持ち帰って飼ってみることにしました。

飼ってみようぜ!

持ち帰ってから、まずはよく観察します。
どう見てもアシナシトカゲ。それは間違いない。
そっから先がわからない。

とりあえず、肌の質感が湿っぽいので、乾燥には弱そう。湿らせた土に入れよう。
ということは水切れにも弱いはず。水入れを常設しよう。
円筒形で鼻先もそんなに上向いてないし、きっと泳げないはず。水入れは浅くしよう。

このレベルから飼育方法を編み出していきます。
難しかったのは温度。
昼行性のトカゲなら、バスキングランプとの距離の取り方や細かな動作で好みの温度を割り出せるし、生息地がわかればおのずと温度帯もわかるのですが、そういう情報がない。
土に潜りっぱなしで動きが見えないから、適した条件になっているのかどうかわからんのですよ。
ついでに言うと、土の湿らせ具合も足りてるのかどうかわからない。

ここで、ワタクシの奥義が炸裂!
まずは、プラケを用意。なるべく大きいやつ。
土を入れます。たっぷり目で。
で、プラケの隅っこから水を流し入れます。
土の下半分が湿ったらOK。
そしたら、パネルヒーターを側面に貼ります。
湿り具合とヒーターからの距離によって、

・暖かくて乾いた場所
・暖かくて湿った場所
・温度低めで乾いた場所
・温度低めで湿った場所

ができ、それらが連続してつながった環境が作り出せるのです!
あとは、愛しのアシナシトカゲちゃんがどのあたりにいる時間が長いか、ときどき掘り起こしてチェックすればOK。
もちろん、このまま維持して自分で好きな時に好きな環境を選ばせるのでもOK。
ワタクシは後者を選択しました。
この方法、アシナシだけでなく地中性の多くの生き物に応用できますぞ!

さて、環境ができたら次は餌。
これは、そんなに迷わない。
アシナシは原則として昆虫食だから、コオロギでいいはず。
でも…と、一抹の不安がよぎる。

連れ帰った数日後、夜10時くらいにコオロギを入れ、部屋の電気を消し、暗闇の中でニタニタしながらプラケを見ていると、アシナシがもこもこっと出てきました。
明らかにコオロギに反応しています。
食うか、食うのか!

…食わない。
むしろ、食えない。
思った通り、コオロギに追いつかないんですな。
わざと足を折ったコオロギにすら、追いつかない。
まぁ、飼い始めたばかりで本調子じゃないんでしょうけどね。
しょうがないので、コオロギを半殺しにして与えます。
俺きっと、ろくな死に方しないんだろうなぁ。
それでも、このアシナシトカゲを状態良く飼えるならいいんだ!
俺の、人としての尊厳などアシナシトカゲにくれてやるわ!!
そういうテンションでコオロギを半殺しにして与えると、おいしそうに食べています。
どうやら、飼育は軌道に乗った様子。

正体がわからないぜ!

半殺しのコオロギをぱくつく正体不明のアシナシトカゲを見ながら、こやつの種名を調べ始めました。
まずは、本当にヨーロッパじゃないのか。色違いとか。
でも、顔の長さも違うし、鱗の大きさも違うし、ヨーロッパにこういう色違いがあるとは聞いたことがないし…。
当時、まだインターネットが今ほど普及していなかった時代です。
画像検索なんかできやしない。
顔の鱗の枚数を調べたり、体鱗列数を調べたり、測定できるところを測定し、図書室にあった資料を片っ端から調べます。片っ端からと言っても、ヨーロッパ以外のアシナシトカゲが載ってた本は3冊しかなかったけどね。
ここまでヨーロッパに似てるんだから同属だろうと思い、学校のパソコンで学名を打ち込みネット検索すると、英語のページしか出てこない。見たことないスペルだと思ったらドイツ語だったり。
それでも、この学名検索でピンときたやつがいました。

それが、ハーティ。
測定したものと合わせ、特徴が一致しました。
そうか、こいつはハーティアシナシだったのか。
ハーティアシナシ自体は、実はけっこう古くから輸入されている、マニアックなハペ屋なら知っている人の多い種です。しかし、定期的に輸入されるわけじゃないため、いるときにはいるけどいないときにはいない、いるときでもほんの数匹、という存在だったんですな。しかも、いないとなると数年、いない。それでは、まだカタギに片足を残していた半端なハペ屋のワタクシや、熱帯魚が専門の店員さんにはわからなかったわけです。
ちなみに、分布は中国南部。この分布域も、輸入量の少なさに影響しているのかもしれませんね。もちろん、定期的に殖やしているブリーダーなどいません。

アシナシ、楽しいぜ!

というわけで、飼い方を探るところから種名を調べるところまで、たっぷり楽しませていただきました!
たとえ、店先でラベルがついてなかったとしても、ハーティアシナシという種を先に知っていればこんなにごちゃごちゃ工夫しなくても良かったんですが、こうしてごちゃごちゃやるからこそ、この趣味は楽しいと思うのですよ。マニュアル通りに飼うなんて、つまんないじゃないですか。

しかもね、こうして自分で飼育法までたどり着くと、不思議と同じ種類を同じ飼い方しても楽しいんですよ。コオロギ半殺しにしなくてもミルワーム使えばよかった、とか新しい発見があったりね(笑)
というわけで、全国のハペ屋の皆様、特に最近ハペ屋と化した皆様、ネットや本でほしい種類を見繕って飼うのも楽しいけど、正体不明種に敢えて手を出すのも、それはそれで楽しいものですぞ!

 

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