人生で初めて彼氏ができる

あれはもう、20年以上前の話です。恋に恋する女子だった私は、当時生まれて初めて付き合った彼との結婚を考えていました。ですが、その彼だけはやめたほうがいいと、両親から大反対をうけたのです。確かに生活力もないので、今後のことを考えると結婚してもうまくいきそうにありません。それなのに、反対されればされるほど、彼への思いが募っていきました。生まれて初めての彼だったので、その思いはとても強かったのです。彼はまさしく、私にとって運命の人でした。彼以外の男性なんて、考えられませんでした。
それでも、あきらめようと何度も思いました。毎日のように彼からは、ラブレターが届きます。当時は、まだ携帯がそんなに普及していなかったので、毎日届く彼からのラブレターは、確実に私の心を動かしました。ラブレターをもらっていることは、両親には内緒でした。その頃は、実家で両親と暮らしていたため、両親が郵便受けを開ける前に、郵便を確認する必要がありましたが、そんなことは大変だなんて思ってもいませんでした。
ですが、その手紙の存在がバレてしまう日がやってきました。ほんのちょっとのタイミングで、母のほうが先に郵便受けを開けてしまったのです。
「なに? この手紙は」
母は驚いて声を荒げました。すぐに、今までもらった手紙をもってくるように言われました。しかたなく、その言葉にしたがって、山のような手紙を差し出しました。
「こんなに手紙をためて。何考えてるんだか」
母は半分呆れていました。
「気味が悪いから、全部返却するから」
手紙はすべて彼の元へと返されてしまったのです。
元気を失くした私は、しばらくの間、呆然として過ごしていました。彼からのラブレターを楽しみにしていたのに、突然それが失くなってしまったのです。喪失感から、どうすればいいのか、わからなくなっていました。
彼から電話が来る日もありました。ですが、やはり気味が悪いからとの理由で、母が家の電話番号を変更してしまったのです。母にとっては、気味の悪い男性でも、私にとっては、なくてはならないかけがえのない人でした。電話もダメ、手紙もダメ、彼との連絡手段がなくなってしまったのです。あと考えられるとしたら、彼の家へ押しかけるくらいしか道はありませんでした。ですが、そこまでの勇気は持っていなかったのです。

占い師と運命の出会い

そんなある日、母がよく当たると評判の占い師の噂を聞いてきました。その人は、看板をだすわけでもなく、一人で困っている人を救っているそうで、占いの料金も本人が出したいと思う金額でいいのだそうです。
その占い師が住んでいる土地を聞いて、ビックリしました。そこは、以前から当たると評判の高い占い師のいる場所で、何度も鑑定してもらいたくて、知っている人に詳しい住所を教わりに行っていたのにもかかわらず、なぜだか知っている人に会うことすらできなくなり、そのままになっていた、その人だったからです。これはもう、運命を感じました。
もし、その占い師の人が、彼と結婚したほうが幸せになれるというのなら、母は反対しないと言っていました。ですが、別れたほうがいいと言われたら、素直に別れるように約束をさせられてしまったのです。それでも、以前から会いたいと思っていた占い師に会えるわけですから、半分ワクワクしていました。悪い結果なんてありえない、根拠のない自信だけがありました。
妹の車に乗せられて、母と3人で占い師の元へと向かうことになりました。当日は、秋晴れの良い天気でした。いつもなら、道に迷う妹が、なにかに導かれるようにして、まっすぐに占い師の元へと向かっています。
そこは、一戸建ての普通の家でした。聞いていたとおりに、どこにも占いをするとの看板は出ていません。薄暗い玄関から、中へと入りました。そのまま二階へ続く階段を上がると、神棚のある部屋がありました。どうやらそこで占いをするようです。占い師は、年の頃なら70歳位の女性でした。物静かな感じでしたが、どこにでもいるようなごく普通の主婦といったかんじでした。
母が手短に彼のことを告げました。私は、別れたくないとはっきりと答えました。

占い師が出した答えは

占い師は、私の名前と生年月日を紙に書いて、それに基づいた鑑定をした上で、手相を見てくれました。言われたことは、どれも図星で当たっていました。まるで、私のことを昔から知っていたかのようです。来てよかった、心の底から思いました。
しばらく、神棚に向かって手を合わせていましたが、
「行ってまいります」
と、はっきりとした口調で言いました。母が、占い師が通れるように座布団をどかして、道を開けています。
すると、
「玄関が見えるね。古い大きな農家だ。その奥に年老いた両親がいる」
と、言葉を続けました。そうです、占い師は魂を飛ばして、男性の元を訪ねていたのです。
「その男性は、やめたほうがいい」
占い師は最後に、そう断言しました。私の目から涙がこぼれ落ちました。
こうなるかもしれないと思ってもいなかったのに、はっきりとダメだと言われてしまうと、悲しくて悲しくてやりきれない気持ちでいっぱいになってしまったのです。二人の結果に悪いものなんてありえないのだと、思っていたからです。でも、心のどこかでは、もしかしたら別れることになるかもしれないとうっすらと感じていました。
「わかりました。別れます」
苦渋の決断でしたが。そう言うより他はありませんでした。母は、安堵して泣いていました。
「よかった。よかった。やっと、わかってくれた」
大粒の涙をこぼしながら、母は泣き続けています。私も間違った恋をして苦しみましたが、それと同時に母も苦しめてしまっていたのです。
結局、母との約束通りに男性とはお別れすることになってしまいました。占い師の人にも別れると宣言してしまいましたし、今さら撤回はできそうにありませんでした。

それからの恋愛事情

別れてすぐのころは、彼のことばかり考えていました。絶対に忘れるなんてできないと思っていたのです。ですが、時間の経過とともに、彼への思いが冷めていきました。
その後すぐに、彼には昔から付き合っていた女性がいたことがわかりました。私とは、遊びみたいなもので、本気ではなかったのです。別れて正解でした。
占い師は言っていました。
「楽しいことだけ考えなさい。悪いことは忘れなさい」
その占い師は、子供の頃から霊力が強く、神主さんにみこまれて、神社で暮らしていたのだそうです。困った人を放っておくことができなくて、占いを始めたのだとか。看板を出したり、宣伝をしなくても、口コミで広がり、鑑定をお願いするお客さんがたくさんくるのだそうです。都心にある場所でもなく、どちらかといえばへんぴな住宅街にある一戸建ての場所です。それでも、悩みを抱える人達は、場所を探し出し、やってくるといいます。
あれから、もう二度と恋なんてできないと思いこんでいました。私みたいな人を相手にしてくれる男性は、その人しかいないと頑なに考えていたのです。
ところが、それから違う男性との縁をいただいて、結婚することができました。別れた彼こそ運命の人だとかたくなに信じていましたが、どうやら違っていたみたいです。
人生でどうしたらよいか迷ったとき、占い師の言葉を思い出して、楽しい方を選択することにしています。
鑑定してもらって、本当によかったですね。

 

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