いやまぁ、おススメも何も、けっこう有名どころの戦争映画だと思うんですけどね、実際。
映画がそこそこ好きなミリタリーファンなら、戦争映画って当然チェックすると思うんですが、やっぱりおススメしたい映画ってのがあるんですよ。
今回ワタクシが強くおススメしたいのは、「スターリングラード」。ちなみに、英語タイトルはEnemy at the gate。第二次世界大戦後期の、旧ソ連スターリングラードを舞台にしたスナイパー同士の死闘を描いた作品です。
もちろんみんな知ってるだろうと思って周りの連中に聞いてみるんですが、意外と知らないんですよ、みんな。言われてみれば、確かにそんな盛り上がった記憶無いかも。というわけで、こういうニッチな作品にこそ光を当て、みんなに紹介したい!

あらすじは?

先に書いた通り、独ソ戦後期の、スターリングラードの戦いを描いた作品です。ソ連侵攻を猛スピードで進め、スターリングラードにまで到達したドイツ軍。ソ連は国家の威信を賭けてドイツ軍の阻止に躍起になるが、すでに多くの兵士を失ったソ連は各地の田舎から若者をかき集め、軍服を着せ、装備も不足した状況のままドイツ軍へ無謀な突撃を繰り返させていました。まるで日常のようにドイツ軍に殲滅され、生き残った若者は仲間の死体にまぎれて敵をやり過ごします。士気高揚の機関紙を撒いていた情報将校のダニロフは偶然、その若者の天才的な狙撃の腕を目にします。その若者の名は、ヴァシリ・ザイツェフ。ヴァシリを英雄として掲げれば、士気が上がるはず。無名の兵士だったヴァシリはドイツ軍将校を次々に葬り去り、ダニロフはその活躍を機関紙につづって広めます。瞬く間に英雄となったヴァシリを倒すため、ドイツ軍は最強のスナイパー、ケーニッヒ少佐を派遣します。恐るべき腕を誇るケーニッヒ少佐の前に、ヴァシリは徐々に弱気になっていきます。ちょうどそのとき、美しい女性兵士、ターニャにダニロフと同時に惹かれ、ダニロフとの仲も険悪になっていきます。目まぐるしく変わる戦況、静かに確実に迫り来るケーニッヒ少佐、そしてダニロフ、ターニャとの人間関係。地獄と称されたスターリングラードの戦いを舞台に、戦争と人間関係に翻弄されながら懸命に戦う兵士の姿が描かれます。
なかなかボリュームのあるストーリーだと思うのですが、先に言ってしまうと、ちょっと盛りすぎた感があります。ケーニッヒ少佐との戦いだけでも十分濃厚な戦争映画になったはずなので、ターニャとの恋物語はいらなかったかなぁ。
ちなみに、ミリタリーファンの皆様はよくご存じと思いますが、スターリングラードの戦いは史実で、ヴァシリ・ザイツェフも実在する人物です。ヴァシリ抹殺のためにドイツ軍が用意した人物はケーニッヒ少佐ではなく(もしかしたら同名の少佐がいたかもしれませんが)、ハインツ・トラバルト大佐だと言われています。史実では、トラバルト大佐はヴァシリが仕掛けたヘルメットを使ったトラップに騙され狙撃されたとされていますが、映画ではもちろんそんなにあっさりとやられるはずもなく、死闘を繰り広げます。

おススメポイント①モシン・ナガンとkar98kがみられるぞ!

あらすじだけ見ると「よくあるパターン」な感じがしちゃうかもしれませんが、この映画の舞台を良く見ていただきたい!独ソ戦でのスターリングラードです。当然、出てくる装備はドイツ軍の装備と…ソ連軍の装備です。ちょっと珍しくないですか?ソ連軍の装備。
で、ぜひとも見ていただきたいのはやはり銃!スナイパー戦らしく、銃の描写がとても多いのですが、ヴァシリが使っているのはモシン・ナガンM1891小銃です。知ってます?モシン・ナガン。ソ連軍が正式採用していた歩兵用の小銃で、ボルトアクション式。当時の他国の銃と比較しても、銃身が長いのが特徴です。当時、狙撃専用の銃はあまり一般的ではなかったので、ヴァシリが使っていたのも歩兵用に量産されたものの中から精度の高いものを選んで採用していたものと思われます。その、モシン・ナガンを狙撃用にカスタムし、スコープを取り付けて使用されているのですが、ここが見どころなのです!モシン・ナガンのスコープマウントは特殊で、銃の右側にアームのようなものがついて、そのアームでスコープを支えるような構造になっています。そして、スコープの照準線は十字ではなく、T字型。これも独特ですね。このスコープを見ると、知ってる人間なら「ほほう…」となるのですが、スナイパーが主役の映画なのでスコープから覗いた主観画面や、アーム型スコープマウントのアップが堪能できるのですよ。ありそうでないですよね?モシン・ナガンのアップ。
他方、ドイツ軍随一のスナイパーとされるケーニッヒ少佐が使っているのはモーゼル(マウザーとも言いますね)kar98k。こちらはドイツ軍ファンならだれでも知っている有名な銃ですね。銃全体のバランスが良く、実射経験者に聞いても「非常に撃ちやすい」と評判です。さすがは、職人の国ドイツ。劇中では、ケーニッヒ少佐はこの銃にカール・ツァイス製のスコープを取り付けています。一言でいえば、めっちゃカッコいいってことです。いろいろな映画でkar98kが描かれていますが、別格のカッコよさです。ケーニッヒ少佐は、隠れ家に使っている小部屋の片隅にこの銃を立てかけているのですが、この佇まいが本当に渋い!この雰囲気にあこがれて、自分でもほしくなってモデルガンで探したくらいです。お値段的に手が出ませんでしたが…。お値段と言えば、ケーニッヒ少佐の使っているkar98kの狙撃仕様は同じ時代の歩兵銃としてはおそらく最高級だったはずです。おススメポイントから外れてしまいますが、ケーニッヒ少佐が身に着けている軍服も、彼専用に仕立てられた特別製。当時のドイツ軍では、功績のある将校が専用の軍服や装備を身に着けることはよくあったようです。そういう目で見ても、この銃がいかに特別だったのかがよくわかりますね。

おススメポイント②俳優、カッコいいぞ!

映画好きのミリタリーファンなら、ぜひ俳優にも注目してほしいところ。個人的にこの映画が気に入っているのは、演じている人がそれぞれロシア人、ドイツ人に見えるから、というのもあります。ハリウッド映画なので当然、ソ連側もドイツ側も英語で演じているのですが、英語が不自然に感じられないくらい自然な演技に見えるのです。
ソ連のスナイパー、ヴァシリ・ザイツェフを演じているのは、ジュード・ロウ。ロード・トゥ・パーティションでは殺し屋を演じ、最近だとペプシコーラのCMで鬼ヶ島の鬼を演じてましたね。びっくりしたけど。この映画に出ていた頃のジュード・ロウは当然若いんですが、その若さもあってか、本当にソ連の寒村から連れてこられた若者に見えます。ヴァシリはスターリングラードに来るまでは羊飼いとして生活していて、狙撃の技術は祖父から狩りの技術として仕込まれたものでしたが、最初に将校を狙撃するシーンでは、まるで人ではなくオオカミを狙うように、半ば機械的に「仕事」をする姿が描かれます。ストーリーが進むにつれ、徐々にその表情が兵士の顔に変わっていきます。物語終盤、ケーニッヒ少佐との戦いに決着がつきますが、そのときヴァシリは多くのものを失っています。この、多くを失ったヴァシリの表情をジュード・ロウがどんなふうに演じているのか、ぜひ見てほしいポイントです。
一方、ケーニッヒ少佐を演じているのはいぶし銀の名優、エド・ハリスです。個人的に、「世界軍服の似合うおっさん選手権」があれば間違いなく彼が優勝すると思うのですが、とにかくドイツ軍の軍服が似合う!この原稿を書いていてふと思い立ち、映画での登場シーンをスクショして白黒加工してみたら…もう、歴史の教科書の資料にしか見えません。どう見てもドイツ軍の将校。いや、本物のドイツ軍人にもあんなカッコいいおっさんはいないかもしれません。ジュード・ロウ演じるヴァシリとは対照的に、ケーニッヒ少佐は常に余裕の落ち着きを見せ、口元には笑みさえ浮かべているように見えます。観測手を従えず、単独で確実にヴァシリを追い詰めていくケーニッヒ少佐の姿には不敵ささえ感じますが、この雰囲気はエド・ハリスが演じたからこそのものです。ケーニッヒ少佐の見どころも、やはり映画のクライマックスです。この戦いに決着がつくとき、ケーニッヒ少佐、いやエド・ハリスがどんな表情を見せるのか、ご自身の目で確かめてください!
そうそう、ストーリー上はそんなに重要ではないのですが、もしかしたら歴史が好きな人もいるかもしれないのでもう一点。後に第一書記となるニキータ・フルシチョフをボブ・ホスキンスが演じているのですが、ご本人そっくりです。そっくり具合でいえば映画史に残るのではないかと思います。動くフルシチョフが見たい人も、ぜひこの映画を観てください。

いかがでしょう?ワタクシとしてはこの映画、傑作と言っても過言ではないと思っています。狙撃仕様の小銃を堪能でき、演じる俳優も超一流。紹介しませんでしたが、映像や音楽も雰囲気に合っていて、完成度の高い映画です。連合軍目線ではない第二次世界大戦映画が観たい方、スナイパーが好きな方、必見です!

 

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