好きになった人と付き合うまでも様々な困難がありますが、恋愛は一対一の人間関係だから、始まってからが本番。
「好き」が高まったり、気持ちがすれ違ったり、立ち止まってみたり。

居心地のよい遠距離恋愛

「30代女性の恋愛事情3」で書いた通り、私は鹿児島県の離島に住み、大阪の彼と遠距離恋愛をしています。

そう話すと、割と多くの方の反応は
「えーっ、寂しくないの?関西に戻るか、彼氏を島に呼べばいいのに」
といったもの。
そう言われてみると、私は近距離よりも、遠距離の方が向いているのかもしれません。

まず、物理的な距離が離れていても寂しくない。
今はいつでも、どこでも、電波で繋がれますからね!
「何かあったら電話しておいで」と言ってくれていたので、彼の誕生日は一時間くらい電話しました。
今日のヨロン島の海が綺麗だったよ、夕日が綺麗だったよ、と写真を送ったりして週に2回程度は連絡を取りますし、それで充分。
仕事も忙しいし、自分の時間もしっかり作りたいので、毎日連絡を取りたいとは思いません。

そして、住む場所はそれぞれの気に入った土地でいいと思っています。
私は海の綺麗な離島にいる方が、彼は便利で仕事も多い関西にいる方が、自分らしく伸び伸びとしていられます。
いつでも会える距離にいると、定期的に会うことが義務になってしまいそう。
「こんなに近いのに、何で会わないの?(会えないの?)」
と、ストレスに感じるかもしれません。
近くに住んでいても月に数回しか会わないよりは、たまに会って数日間一緒にいる方が、濃い時間を過ごせるのでは。

そんな訳で、これくらいの遠距離が、程よく居心地よく感じられているのです。

会えるチャンスは3ヶ月に一度

私が関西に行くタイミングでしか会えないので、約3ヶ月に一度、4~5日ほど彼の家に泊めさせてもらうのです。
次に会ったら、どこに行こう?何が食べたい?と連絡し合って計画するのも楽しい。
彼はお休みが日曜日だけなので、土曜日の夜は彼のゴルフの練習に付いて一緒に出かけて、日曜日は街へ買い物、といった具合です。

来月だなぁ…、来週出発だなぁ…と、会える日が近づくにつれてウキウキしてくるのも、遠距離恋愛ならでは。
荷物を極力減らすために局留めで荷物を郵送しておくのですが、その中に入れるのは、お土産や私が着る服など。
これ、一緒に食べたいな、どの服を着ようかな、パジャマはどれにしようかな、と選ぶのです。
遠足の前の晩、リュックサックに荷物を準備するようなワクワク感!

3ヶ月に一度なら、カップルのメインイベントはほとんど外すことがありません。
2月は私の誕生日とバレンタインデー、彼の誕生日は4月下旬で桜の季節、8月ならお祭りや花火大会があるし、ずれて9月になっても避暑旅行、11月は紅葉を楽しめるし、12月ならクリスマス。

まぁ、年中何をしても楽しめるものです。

計画をねりねり、それも楽しい

会える期間が数日と限られているので、したいことは詰め込みます。
「こっち来たら、どこ行きたい?何したい?」と聞かれて私が答えたのは、
「シャトレーゼでアイス買いたい!」でした。

工場直売で安くて美味しい、シャトレーゼ!
関西に住んでいた時からの大ファンです。
最近はtwitterなどでも広告を見るようになり、恋しくて仕方がありません。
私がお金持ちになったら、自費でシャトレーゼをヨロン島に誘致したい!
「シャトレーゼって、あの、ケーキとか安いとこやろ?なんぼでも買うたげるわ!」
との快いお返事だったので、私のウキウキワクワクは加速したのでした。

そして、私からの更なるリクエストは、彼の作ったゴハンを食べたい、ということ。
彼の休みの日に、「お夕飯は何食べたの?」と聞いたら、ある日は
「今から作る。麻婆豆腐とペペロンチーノで迷ってる」との答えでした。
中学の頃から自分の飯は自分で作ってたという料理好き。
特にパスタは得意料理だそうで、作ってもらう約束を取り付けました。
私がビールを飲めない体質なので、二人でお酒を飲む時はワインと決まっています。
「じゃ、俺の好きなワイン買っとくから、家で一緒に飲もう!」
お互いに、出かけたい場所が無かったので、家でのんびりしようということになりました。

実際には、予定が変わったり、疲れていてやめたり、あらかじめ決めておいたことの半分も実現できないのですが、離れている時に二人で計画を妄想するのも、また楽しい。

平日は、彼の仕事が終わってからお風呂を済ませて外食に出かけます。
美味しいものを食べることを生きがいにしている彼なので、その時の気分に合わせて近所のゴハン屋さん開拓。
近い場所ほど、一人の食事の時ほど、お店に入って食事をしないものですよね。

話したいこと・聞きたいことは会っている間に済ませる

お風呂上がりに焼肉を食べて、通天閣を眺めながら夜道を歩く。
なーんて気持ちがいいんでしょう♪
あんまり気分がいいもんで、
「ねぇ、ねぇ、手ぇ繋いでよーう」
とねだって彼に左手を差し出すと、しぶしぶ…といった感じで握ってくれました。
が、数十メートルで離されました。
(え……今、手を振りほどいた?)

釈然としないまま帰宅して、私の胸の中にはモヤモヤが残ったまま。
明日帰らなければいけないのに、このままではいけない。
すれ違わないように、話すべきことは話しておかなければ、という思いが募ります。

私が彼に話したいことがある時は、寝る直前に話すことにしています。
部屋を暗くして、二人でゴロンと横になって、眠たくなって、足元には飼っている猫が2匹丸くなっている、幸せの時。
この状態なら、どんな話になってもケンカにならないような気がします。
(ケンカはエネルギーが必要だから、眠たい時は出来ないと思う)
お互いの表情があまり見えないせいか、ちょっと勇気を持って切り出すことも出来るのです。
眠たくなっているから、興奮せずに落ち着いて話せるし、素直にもなれる。

私「ねぇ、ねぇ、私と猫山さん(仮称)って、付き合ってるんだっけ?」
猫「……なんの確認?付き合ってなかったら、家に入れさせへん」
私「ね、じゃあさ、手を繋ぐの、もしかしてイヤ?」
猫「……あんまり好きじゃ無い。知り合いに見られたら恥ずかしいし」

俺の仲間とかも、そうゆうのせぇへんヤツばっかやで。
私の友達は、みんなぴったりくっつくの好きだと思う。

負けられない!
私たち以外の人たちのことは、どうでもいいんですよ。
一緒にいるうちに、ちゃんと話しておかないといけないことは、まだあるはず。

私「え、じゃあね、猫山さん(仮称)のお母さんって、私たちが付き合ってるの知ってる?話した?」
猫「話してない。おかんに言うたら、いろいろ聞かれてめんどくさいねん」

話しとらんのかい!
彼のお母さんと私が仲良くなり、彼を紹介してもらったのですが、まさか報告していなかったとは。
お母さんにしてみれば、息子の結婚相手候補くらいには期待しているでしょうから、話していないと言うことは、彼は私とは結婚するつもりは毛頭無いのかもしれません。

手も繋がない、身内にも知らせない、更に言えば、一つのベッドで一緒に寝ていても、体の関係も持っていません。
でも、彼は付き合っているつもりらしいですよ。
この関係に寂しさを感じてしまうのは、私だけなんでしょうか?
お前が俺を好きになったから、合わせてやってるだけだ、と言われているような気さえしてきます。

午前3時に逃走する

「真夜中2時過ぎ、ふたりは街を逃げ出した」
これは、私が大好きなロックバンド、フジファブリックの「銀河」という曲の歌詞。
29才という若さで、クリスマスイブに夭逝してしまったボーカル・志村正彦による名曲の一つ。
タッタッタッタ ラッタラッタッタ と、飛び出すのである。

私が彼の部屋をひとり飛び出したのは、それより遅い午前3時。
たまにしか会えないというのに、ようやく一緒に過ごせるのに、気持ちが離れているように感じ、たまらなく寂しくなってしまった。
こちらの気も知らず、彼は私の横でぐーぐー鼾をかいて寝ている。
このまま朝を迎えて、起きたら彼は仕事に向かい、私は「じゃあ、また3か月後にね」なんて言われるのか……と、考えただけで涙が出てきてしまった。
そんな乾いた朝を迎えてなるものか。
ベッドから静かに降りると、荷物を全部持って出て、近くのゲストハウスを訪ねました。
以前利用したことがあり、有り難いことに入口が24時間開いているのを知っていました。
こんな夜更けに突然訪れてチェックインは出来ないので、リビングスペースで仮眠をとらせて頂き、朝一番にフロントに事情を話して一泊分を支払うことにしました。
この宿はチェックアウトが12時と遅めなので、ギリギリまで寝させてもらうことに。

ドミトリーにドサリと身を投げ出すと、はあぁーっと深いため息が出た。
寝不足と気持ちの落ち込みでぼんやりした脳内では、志村の歌声が響く。
タッタッタッタ ラッタラッタッタ、
タッタッタッタ ラッタラッタッタと 飛び出した……
この歌の中では、ふたりで飛び出すんだっけ。
いいなぁ、そんなの羨ましい。

出戻る

大阪のゲストハウスは外国人観光客で賑わっている。
リビングスペースでは聞き取れない言葉が飛び交い、みんな今から遊びに行く予定なんかを相談しているのかな。

チェックアウトを済ませてからも、立ち上がる気力も無くてリビングスペースの端っこに座って、世界が違う彼らをぼんやり眺めていました。
どこも擦りむいていないのに、からだのどこかがヒリヒリ痛い。
彼は仕事に行って、もうすぐお昼休みに入る時間だ。
朝、起きて、私が居ないことをどう思ったんだろう?
そう思っていると、彼からLINEが来た。
「何時に出てった?起きたらおらんから、ビックリした。うちの猫うるさいから寝られへんかったやろ、ゴメンな」
猫のせいじゃないし!
返信する気力も無くて、まだ頭がふらふらしていたので、友達の家に転がり込むことに。

「良かったじゃーん、彼から連絡くれて。返事してあげるんだよー」
こんな時に明るく励ましてくれる女友達は、一生大事にしなければならないな、と感謝します。
ゆうこりんは、私が彼と付き合い始めたのと同じ頃に、彼女も彼氏が出来たので、恋愛同期として日々様々な相談をしあっています。
「寂しかったって、素直にちゃんと言うんだよー!」
「泣いちゃってもいいの!私も彼と話した時、ボロ泣きだったもーん」
「大丈夫だよー、彼、不器用なだけで、大事にしてくれてるんだよ」
寝起きの私に淹れてくれた紅茶とクッキーが、美味しくて甘くて、ゆうこりんの言葉と共に心に沁みる。

可愛くて元気な友人に背中を押され、彼に返事を送ったのは19時近くなっていました。
彼は仕事から帰ってきて、シャワーを浴びている頃だろうか。
帰る予定を延ばしたから、もう一回会えない?と聞くと、すぐに「いいよ!」と返事がきた。
家出して連れ戻されるような気分で、なんだか気まずい。
彼の部屋でもう一晩過ごし、私の正直な気持ちを聞いてもらって、関係が壊れることなく済みました。
めんどくさいと思われているのでしょうが、たまには心配させておきたいものです。

いつか来るその日へ

結婚したいと言ったら距離を置かれるんじゃないか?と思っています。
それが壁になっていて、未だに話題に出来ません。
私は、どこかで彼に心を開いていないのかもしれない。
「はーちゃん」と名前で呼んでくれる彼を、私は名字にさん付けで呼んでいます。下の名前で呼ぶタイミングを逃してしまったという理由もあるけど、私に寂しい思いをさせている彼への当て付けでもある。
――名前で呼ばれたかったら、もっとちゃんと大事にしてよね――
きっとこの人は最後に私を選ばないし、いつか別れると、どこかで諦めているのかも。

結婚に踏み切るためには、決断が必要です。
その決断が出来る人と出来ない人と、決断する相手を見つけられていない人と。
彼は、自分で決断出来ない情けない人なのか?
それとも、私ではその決断に至らないだけなのか?
前の彼女とは7年付き合って、別れたそうで。
結婚したいと言っていた彼女を、結婚して幸せにする自信が無かった、と言っていました。
私は、彼と居られたら、それだけで幸せなんだけどなぁ。
30代後半ともなると、妊娠・出産リミットがちらついて、自分たちの付き合い方や将来を一緒に考えたい思いが強くなります。

それでも、今は、彼氏と彼女の間柄を楽しめばいいと思う。
世間一般的にはオジサン・オバサンな年齢の私たちですが、未だに体の関係もなく、結婚の話も全く出ず、ただ緩く不安定な恋愛関係をふわふわ続けています。
未来はどうなるかわからないし、私たちはまだまだ始めたばかり。
焦らない、焦らない。
いつか、何らかの決断を迫られる日がやって来ます。
それが結婚なのか、お別れなのか。
決断する日が怖い。けど、いつか来る。
その時によい決断が出来るよう、私は彼を精一杯好きでい続けたいと思います。