台湾は今年だけで2回訪れ、2回目は台北を拠点にまわりました。初回は台南から始めたのですがそこで初めて台湾の牛肉麺に出会い、すっかり虜になってしまいました。そして8月のお盆明けというなんとも気が狂ったかのようなタイミングで2回目の訪台を果たした筆者はなんと牛肉麺屋の真上のホステルに宿泊するというなんとも運命しか感じないものでした(笑)。

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宿の真下は牛肉麺

筆者の泊まっていた宿は台北駅から歩いて10分前後のところにあるホステルだったのだがその真下に牛肉麺の食堂が2店舗もあった。台湾はあまり自炊するということがそもそもマイナーだし、自炊した方がコスパが悪いことも多いので殆ど外食かテイクアウトだ。もし朝から開いていれば朝ごはんはそこで決まりだが世の中はそれほど甘くないもので開店は11時あたりからだった。
牛肉麺
筆者が食べたのはそのうちの片方である「清真黄牛肉麺館」という食堂だった。それにしてもずっと気になっていたのがその食堂の名前の上に書かれているものだ。あれはどこからどう見ても明らかに漢字ではない。ローマアルファベットでふりがなかと思えばそんなわけもなくなんとアラビア語でなにかがかかれているではないか!?そして筆者はアラビア語が分からない!(笑)。ただ写真の中央奥に注目してもらうとあの認証マークが見える。イスラム教徒には絶対にかかすことのできないハラールマークだ。ハラール認証とイスラム教徒で思いだすことがあるとすれば台湾はインドネシア人が多く、それも日曜日には台北駅が集会でインドネシア人がごった返しているほどだ。もしやそれが関係しているのだろうか?
牛肉麺
前菜のような感覚で意味も分からないまま「牛肉鍋貼」を頼んでみればなるほど、これは焼き餃子のようだがひとつあたりがなんと大きいこと。ご飯があればこれはとても進む。これはひとつ8元なので24円あたりだ。
それにしても背景こそピンがあっていないので恐縮だが目を凝らすと再びアラビア語の行書体やら見えてくる。おそらくシャハーダ(信仰告白)のフレーズかコーランの中の一文なのだろう、どうもインドネシア人ら外からくるムスリムをイメージしたかといわれるとどうもそれだけではないみたいだ。他の牛肉麺の食堂に行ってもこのようにハラールマークがついているだけにとどまらず店内の随所にアラビア語でかかれた飾り物などがあったりするところが少なくとも台北中心部では多く目にすることができた。
牛肉麺
搾菜牛肉(糸へんにさらに糸)麺をこれも意味も分からないまま頼んでみればまぁなんと美味しそうな麺だということ、これは一杯80元なので240円とでもいったところだ。汁は薄茶色で、以前に台南で食べた赤茶色に近い汁とは大きく異なる。麺を見てみるとこれがどうも香川県で有名なあの麺を連想させる。うどんだ。実際のところうどんももともとは大陸から福岡に伝来して日本に定着したのでそのルーツをたどっているような感覚だ。実際に食べてみるとコシよりはどちらかというともっちり食感を楽しむような感じで、そこにさりげなく薬味が効いた牛肉やネギ、あっさりしたスープが絡まってこれがまた美味しいのである。全体的にあっさりした味わいで、重さもあまり感じることはなかったのでこれはおすすめだ。とは言っても実際のところこれはあまりメジャーな牛肉麺ではないようだ。
それと、忘れる前にここは机においてあるオーダー用紙に記入して中の人に渡す仕組みになっている。

紅焼牛肉麺

宿の真下の例の牛肉麺の食堂であっさりめの牛肉麺を昼食として食べたその日はこれも縁というものなのだろうか、その日の夜も同じ食堂で食べることになった。夜に来てみると今度は写真付きのメニュー表をくれた。どうやら筆者が外国人であるゆえの配慮らしい。確かに漢字である程度意味をくみ取れたところでやはり限界はある。今度はとりあえず赤茶色っぽいということで紅焼牛肉(それとも牛筋?)麺を頼むことにした。これは少々値段が130元、約400円なのだがこれはかなり上がっているので少々は撤回する。
牛肉麺
これが紅焼牛肉麺なのだが名前に「紅」がはいっているように汁が赤っぽく、これこそ台湾でメジャーなタイプの牛肉麺だ。麺はさきほどのものと変わらずうどんのようなでもよりもっちり食感の味わえるものになっている。これもややさっぱりめの汁だが先ほどのものと比べて味により深みがある。そして油断も禁物、辛さに強いからと調子に乗って控えめ以上ちょっと控えめ以下で備え付けのラー油を入れようものなら汁の赤は地獄の赤に変わる(笑)。日本のようにお冷が出るわけではないのでラー油を入れる際にはこの点にぜひ注意されたい(笑)。
余談ではあるが後日、帰国前に桃園国際空港で暇つぶしをかねた昼食で再び紅焼牛肉麺を食べることになったのだがそこもまたしっかりハラルマークのついた店で、台北首都圏でハラールマークのついていない牛肉麺食堂は今のところ筆者の経験上まだ見かけていない。

大陸でいう牛肉麺とは違う?

確かにうどんのような紅焼牛肉麺は台湾を発祥とする牛肉麺だ。しかし、中国大陸でも同じような牛肉麺かというと確かにこのような麺を使った料理は存在するが牛肉麺については事情が違う。中国大陸でいう牛肉麺は中国西部の甘粛省蘭州(Lanzhou)を発祥とする牛肉拉麺を指すことがおおい。さきほど台北の牛肉麺食堂で妙にアラビア語を目にしたと述べたが蘭州の牛肉拉麺の場合はそもそも住んでいるのが豚肉を禁忌とするムスリムなので背景がとても分かりやすい。そして麺については拉麺、すなわちラーメンで使われるような麺なのでここも違う。そして味はというとこれが辛い!筆者は行ったことがないのであまり多くはいえないが蘭州ではコンビニの数よりも牛肉麺の数の方が多いそうだ。
なお、蘭州牛肉拉麺は日本でも食べれる店が少なからずあるそうだ。

ごちそうさま

題名が牛肉麺集合とあったがここで集まったのは所詮2品だが汁の色で分ければ赤っぽい紅焼きかそうでないかの違いなので結局は2カテゴリーに大別できてしまう。よってここでそのカテゴリーはそろったということになるのだがいずれもさっぱりめで重くなく、素晴らしい味わいだった。ご飯と一緒に食べていたらなお良かったのだろうが味以上に店内のアラビア語の方が印象が強烈だったのは今後も忘れまい。