台湾にいると食堂やコンビニ、果てに弁当屋さんや屋台などで広くみかけるものがあります。「骨を排する(?)」と書いて「排骨」というものです。しかもその「排骨」には案外バラエティーに富むようで「日式排骨」というように実際には相当する食べ物が日本にもあるようです。今年は台湾に2回訪れましたが結局初めて「排骨」を食べることになったのは8月に2回目に台湾を訪れたときのことでした。いやぁ、この食べ物、コスパがいいんですがさらに少々リサーチしてみたらコスパ以外でも面白いことが色々分かりました。

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初めて食べた「排骨」は蘇澳の食堂で

排骨自体は食べようと思えばいつでも食べることができるものではあったがその度に牛肉麺であったり、肉まんじゅうであったりと他の様々な食べ物の誘惑に負けて気が付けば帰国前日に訪れた蘇澳でようやく排骨にありつくことができた。
排骨
写真に「排骨」と書かれているところが見えるかと思うがそこが筆者が今回排骨を食べた食堂である。なんということはない、ここはいたって普通の安食堂で、今回食べた排骨は80元なので240円といった具合だ。他にも加里(ここでは加の左にもうひとつ口があったような)などもあったのだが言われてみれば台湾で食べるカレーがまた気になる。これは次回訪台したときの宿題ということにしておこう。
排骨
これが今回食べた排骨だ。排骨弁当とあったがここではランチボックスの意味での弁当というよりは定食としての意味合いの方が強いようだ。写真の右下がこれから食べんとする「排骨」である。念願だったかどうかは分からないが少々ソワソワしていたのでおそらく無意識のうちに念願となっていたのだろう、まぁとにかくそういうことにしておこう。
排骨
ちなみにここはいかにも典型的な庶民食堂という感じで、歩道に無造作に?おかれたテーブルで行きかう大型トラックを眺めながら食事の時間をさっさと過ごす。ちなみにここから3分ほど歩いたところに貨物港があり、その関係で田舎とは言われつつも実は交通量が多いところなのである。
色々考えていると冷めてしまうので食べ始めることにしよう。定食なので当然今回の食物語の主役である「排骨」以外にも色々あるわけだがそれらについては割愛、と言いたいが美味しかったので問題はない(笑)。そして排骨はどうだったかというと見た目は豚カツとあまり変わらないがなんとも不思議な味わいだ。まず排骨の衣だがサクサクというよりは某ケンタッキーのような感覚の方が近いかもしれない。食べ応えとしては面白いしご飯が進むのでそこはいい。味はというとどういうわけなのか妙にほんのりと甘いなにかをはっきり感じた。筆者は今のところこの蘇澳の食堂以外ではまだ排骨は食べていないので判断しようにもできない状況だがここまで甘さがわずかではあってもはっきりしていると少なくとも雑食の筆者なら問題なく食べても我々の味覚にあうかといわれると首をかしげる節はある。しかし不思議なものでそんなことを考えつつも筆者にとっては決して悪い味ではなく、むしろご飯が進んだのだ。それにしても台鉄の駅弁で排骨弁当が名物のような存在になっていたがそもそも排骨とは何者なのだろうか?

そもそも「排骨」とは何?

排骨、漢字の組み合わせから「骨を排する」という要素をイメージするのだからここはあながち間違いではなさそうだがなにかが物足りない。ということで今回は少々リサーチしてみたのだがなるほど、ここはもしかすると某放送局の番組で「ボーっと生きてんじゃねーよ」と叱られる可能性がありそうだ(笑)。それともそうでもなさそうだろうか?とにかく言えることとしては実際のところ「骨を排する」という意味合いはあまり含まれていないということである。
それはさておき、「排骨」は元々は料理の名前ではなかったそうだ。中国語でパイグゥと発音される「排骨」は元々は豚などのスペアリブ、すなわち骨付きバラ肉を指す中国語だったそうだ。(なお、「豚など」と述べたのは他にも牛、羊肉なども含まれるためだ)つまり、「排骨」は元々は部位を示していたのに過ぎないということなのだがこれがいつしか転じてバラ肉に卵と小麦粉の衣をつけて油で揚げる中華圏の肉料理を指す言葉へと変身を遂げて今に至る、というわけだ。なるほど、どうやら排骨自体は台湾だけではないということは分かったが筆者がこれまでに訪れた範囲内では大陸側では実のところあまり目にしていない。
それにしても前述した「卵と小麦粉の衣」で何か心当たりのあるものが日本にもないだろうか?ずばり皆さん大好きな(?)とんかつだ!!とんかつも卵と小麦粉の衣をまとって油で揚げているではないか!そんなとんかつだが台湾含む中華圏では次のように呼ばれている、「日式排骨」である。つまり日本スタイルの排骨ということだ。なお、前述したように排骨というのは豚肉だけに限定しているわけではない。そのため、牛カツも広い意味では日式排骨には含まれるのだろう。この論理を適用すればウィーナーシュニッツェルなんかは欧式排骨ということになるのだろうか(笑)。なお、から揚げは衣に使うものが異なるので今でいう排骨には含まれない。

次回食べてみたい排骨

2度あることは3度あるということわざがあるが筆者は今年(執筆時点で2019年)だけで台湾を2度訪れているのでおそらく近々3度目の訪台があるだろうと勝手に筆者は思っている。ごちそうさまといおうにも排骨をまだ吟味しきれていないので次回訪台するときは様々な排骨を食べてみたいものだ。
まずは台湾での乗り鉄でまだ駅弁を試したことがないのでまずは台鉄弁当の排骨弁当でデビューしたいものだ。そもそも日本以外の駅弁をまだ試したことがないのでこれはとても楽しみだ。
巷で時々看板に「排骨飯」と表示されているところも目にすることがあるがこれは日本でいうところのカツ丼が近い。ただ、卵とじにはなっていないはずで、排骨がそのままご飯にのっているのではないかと筆者は推測しているがこれも食べてからのお楽しみだ。
「排骨麺」なんていうものもあるそうだ。筆者には正直のところうどんやそばを除いて揚げた食べ物を汁ものと一緒にするということ自体がイメージがないだけに考えにくいのだがこれも面白そうな食べ物だ。日本国内でも排骨担々麵というような具合で食べれるところが少なくない。
それにしても題名では「台湾の定番?」とあったが実際にふたをあけてみると本当は中華圏全体だったようだ。それでも筆者の経験上最も目にしたのは今のところ台湾であるので少なくとも台湾の定番と言えないことはないだろう。ごちそうさまでした。