それは学部生3年目のゴールデンウィークのことですから今から2年前の話になります。当時はそれこそ人生初の韓国だったのですが記憶が正しければ朴槿恵が大統領職を追われて大統領選挙キャンペーンを行っている真っ最中の時期だったと思います。ですからあの後できた文政権に移行してから日韓関係が冷え込む直前だったのではないでしょうか、そんな時期に筆者は韓国南部の釜山と光州(グワンジュ)のちょうど真ん中にある順天(スンチョン)に寄り道をしていました。実のところ順天の街については依然としてきれいさっぱりな状態ですがひとつ言えるのは自然は見ごたえありということですね。
順天
全羅南道に属する順天(スンチョン)は韓国南海岸の地方都市で、釜山からはムグンファ号で3時間ほどで到着します。(ただし本数がとても少ないので要注意です!)ソウル方面からは高速鉄道KTXなどが乗り入れており、交通の便は決して悪くはありません。当時はなんと順天発着のKTXの多くがソウル仁川国際空港まで直通していたのですがあれから間もなくソウル仁川国際空港発着のKTXが全便休止になりました。
全羅南道は韓国国内では食で有名ですが順天も例外ではなく、中でも干潟ならではの魚介を使った料理が名高いです。(これを見事に食べ忘れた筆者でしたが….)また、食以外でも順天は豊富な自然に恵まれ、順天湾自然公園(ハングル読みではスンチョンマンシゼンカンウォン、入場料が必要です)が目玉観光スポットのひとつになっています。そこまでは市内バスも運行されていて所要時間20分ほどで到着します。
順天湾の自然
順天湾の最大の特徴は日本でいえば熊本県から佐賀県、長崎県にかけてまたがる有明海とよく似るものがあります。潮の干満差が大きく、しかも広大な干潟に恵まれているところです。(さらにここでは塩生湿地も加わります)とはいっても有明海で活発に行われているノリ養殖の話は順天ではまったく聞きませんでしたがかわりに灰貝やカニ、そしてムツゴロウ漁などは盛んに行われているそうです。なるほど、ここでもムツゴロウを食べる文化があるというわけですね。
順天湾で自然公園になっている部分は遊歩道が充実しており、要所ごとに見晴台のようなものがあるのでそこから周囲を見渡すことができます。それにしても人が案外多いようですがここはどうも国内屈指の人気観光スポットということなのでしょうか。なお、上の写真は順天湾の湿地になっている区域ですね。
ちょうど干潮だったので周囲に生き物がいないかくまなく探すこともなく意外にあっさり見つかります(笑)。例えば干潟や湿地で穴があればそこにはだいたいカニがいます。上の写真もよく目を凝らせば穴のあるところにカニが映っているのが見えますよ!
ハサミが片方だけ大きくなっているのは干潟や湿地では定番のシオマネキと呼ばれるカニの類になります。なお、ハサミが片方だけ大きくなるのはオスガニだけで、求愛以外では殆ど出番がないそうです。ここではこのカニを飽きるほど目にすることになりますがそれはあくまでも干潮での話であって満潮になると話は大きく違います。
写真の中の小川のようなところを挟んで謎に点のようなものが多くなっていますがそれは殆どカニの巣穴かカニそのものです。しかもたくさんありますから水鳥にしては酒池肉林ではないでしょうか(笑)。それでこそ干潟というものですが。
ついに魚も登場です、ハゼ科魚類ですね。写真の中央上の部分にひょっこり映り込んでいます。両隣にカニがいますが全く気にしない様子ですね。最初はムツゴロウ初対面だと思ったのですがトビハゼも同様に同じような環境で暮らす魚なので正直のところこれが果たしてムツゴロウなのかトビハゼなのか自信がないままなのです(笑)。たぶん順天の名物と言われるほどなのですからムツゴロウだとは思うのですが。
気が付けば登山(笑)
途中から遊歩道は干拓地の田畑と塩生湿地に挟まれるように道が続きます。最初の写真でも奥の方に山が映っていたかと思うのですが道を進めれば進めるほど気が付けばその山にやがてぶつかります。上の写真も奥は山の斜面になっていますね。この後の登山については筋肉痛を確約します(笑)。それでも上り終えれば素晴らしい眺めが待っています。
まずはこのアングルから、なんといっても写真中央のカーブがとても美しいです!釧路湿原でも目にするであろうあの蛇行です。
右側は干拓地、中央部は湿地、左側は干潟の外側で、湿地の左端の円盤状のようになっている部分が気になります。
蛇行もさることながらそのわきの地形といい、これはなかなか美しい眺めです。筋肉痛になった甲斐があったと感じたショットでしたが近くに蜂の集団がいたというハプニングもまた忘れられません(笑)。
おわりに
自然が素晴らしい順天でしたが順天名物のチャントゥンウォタン(ムツゴロウ鍋)を見事に食べ忘れてしまうという大暴挙をしでかしてしまったので次回は筋肉痛になったところでムツゴロウをいただこうと思います(笑)。ここは泊りがけで行った方が楽しいかもしれませんね。