大切な愛猫の命は、自分の命と同じくらいに大切です。その命を、なるべく長く、そして健やかに保ってあげたいと思うことは、飼い主として、とても自然な想いです。そこで大切となるのが、良い動物病院を選ぶこと。もしも愛猫が病気になったら、救ってあげられるのは、飼い主、そして、信頼できる獣医師との出会いです。今回は、動物病院を選ぶ際に注意したい点や、ポイントについて、実際の経験をもとにご紹介します。

獣医師との相性が一番重要

ここでの相性とは、『猫と獣医師』だけでなく、『飼い主と獣医師』でもあります。猫は言葉を話せません。そこを補うのが、飼い主である我々の仕事です。

猫の普段の姿や様子を一番知っているのは、他でもない、飼い主です。獣医師は、猫の性質の専門家ではあります。しかし、個体差による特徴を一番に理解しているのは、専門家ではなく、日々密に関わる飼い主です。

例えば、少しでも毛艶が悪いと感じる、なんだか元気がないなど、ほんの些細な変化は、日常の中にこそありますが、病院では一見、普通に見られてしまうことも多々あります。獣医師からは元気そうに見えても、小さな病気の兆候が隠れていることも。

些細な変化でも心配になり、獣医師に相談すると、中には「ちょっと神経質すぎますよ」といった言葉、もしくは態度をとられることもいます。そうなると、飼い主としては、「ちょっと神経質すぎるのかな…」と、本音を言えない、相談できなくなってしまいます。

逆に、精密検査をすぐに勧めてくる獣医師もいます。検査をすることは、確かに病気の早期発見に繋がります。しかし、あまりに検査が多いと、猫にとっては、体だけでなく、精神的ストレスにもなります。

個人的に良い感じる獣医師の対応は、なんでもかんでも検査や受診を勧めるわけでなく、ケースバイケースで判断してくれる方です。例えば、「この症状はおそらくこの病気でしょう。まずは2週間、この薬で様子を診て、それでも効果がなければ血液検査などを追加し、より精密に診ましょう」というもの。最初から「この病気の可能性もあるので」と、いくつもの検査を勧めてくるところもありますが、検査をして明確な結果を目にし、それによる安心を得られるのは、あくまで飼い主です。猫からすれば、いくつもの検査をさせられるのは、決して良いことばかりとは言えません。

とはいえ、必要な場合であれば、やはり検査することは避けられません。その時、検査の重要性、様子を見てもよいのか、それとも急ぐのか、はたまた検査費用について詳しく説明があるのかなど、飼い主、猫の両方の立場で正確に判断できる獣医師と出会うことが大切です。納得が行くまで相談できるような、そんな関係を築けるのが一番の理想です。

設備が整っているから良いとは言えない

猫を初めて飼った時、動物病院の情報など全くもってなかった私は、県の中でも一番有名と言われる病院を選びました。常に混み合い、県外からも多数通われているとあり、「ここには優秀な医師が揃い、最新の設備も整っているから、何かあっても安心だわ」そう思っていました。

確かにその病院には、大きな病気を抱えた動物がたくさん通院していました。テレビ局が取材に来ていたこともあります。しかし、在籍している数名の医師たちは、経験や知識の差があると、正直感じました。いくら良い施設だとしても、入り口は獣医師です。その獣医師が正確な判断を下してくれなければ、処置が遅れることもあり、それが命取りになることだってあります。

例えば初めて病院にかかる際に、ちょっとでも不安を感じたら、抱いた違和感を流すことなく、いくつか質問を投げかけると良いでしょう。些細なことこそ良いと思います。「1日に飲ませる水の量は何mlが適切ですか?」など、基本的なことでも構いません。

医師からの返事がはっきりしない場合、いざという時に、正しい判断を下せない可能性もあります。また、猫よりも犬を多く診ている医師の場合、猫の体をあまりわかっていないのかな、と感じることも。

いくら有名な病院であったとしても、猫に詳しくなければ、こちら側も質問したくとも、積極的になれない、不安も感じます。いくら周りの評判が良くとも、ここは飼い主の判断と、猫が怖がっていないか、安心しているかなども観察し、最終的に通うか決めましょう。

移動距離は猫にとって負担になる

家からなるべく近い病院を選んであげることは、猫の負担を軽減できます。体力があるうちは良いのですが、例えば、腎臓病になると、毎日のように通院し、皮下注射を打たねばなりません。飼い主の負担はもちろんですが、皮下注射を打った後は、猫はものすごくトイレが近くなるのです。尿だけでなく、下痢をする子もいます。

猫はとても綺麗好きなため、キャリーの中でトイレするのを嫌がる子も。私が以前飼っていた猫は、鳴きながらトイレをじっと我慢していました。それを見るがどうしても辛くなり、近くの病院へ転院することとなりました。猫のストレスも緩和できますし、飼い主にとっても、近いにこしたことはありません。

幸いにも私の場合、家から10分ほどの距離に、信頼できる獣医師を見つける事ができました。しかし、全ての人がそうとはいかず、1時間の通院を毎日のようにされている方もいます。移動中は猫に頻繁に声をかけるなど、気持ちをほぐしてあげると良いですね。

猫の負担を減らせるようにと、皮下注射を家でできるようにと、医師が指導してくれるケースもあるようです(病院によります)。一番良いのは、医師に往診を頼むことですが、受診するより費用がかかるため、なかなか難しいですよね…。

猫があまりに辛そうな場合や、体への負担が心配な時は、獣医師に相談し、アドバイスしてもらいましょう。

増えるであろう選択肢を前にして

年々、ペットブームは加速しています。比例するように、動物病院が増えていると実感していますし、我々飼い主側からすれば、それだけ選択肢が増える、ということでもあります。病院側も、サービス内容を充実させて、患者を獲得しよう努力されています。そんな中、昔からずっとあるような動物病院が、影を潜めてしまっている、とも感じます。

新しい病院は確かに綺麗で、最新の治療が受けられることや、豊富な特典にも魅力を感じます。しかしながら、だからと言って良い診察に繋がっているのか、猫自身がリラックスして医療を受けているのかは、また別問題です。選択肢が多くなっているからこそ、よくよく見て選ばなければならない。それは、飼い主である我々にかかっています。

医療が進歩すると、今まで治せなかった病気を治すことができます。以前に比べ、長生きできるということでもあります。しかし、長生きすることだけが正解かどうかは、立ち止まり、考える必要があると私は感じています。

健やかに生きることは、一番の理想の形。しかし、生きていると、病気をしてしまったり、思わぬ事故に遭うこともあります。そんな中、どのようにして生きるのか、命と向き合うのか、想い描く原点を見失ってしまうと、『検査』『治療』『通院』『服薬』など、医療の奴隷になってしまい兼ねません。それはとても苦しく、いつしか生きることに疲れてもしまうと思うのです。

「医療は、『健康であること』を正解とするのではなく、『どう生きるのか』ときちんと考える、そのきっかけや手助けをしてくれるものである」
このことは、ある1匹の野良猫を保護し、命の危機、何度もの検査や通院を経験した中で、猫が教えてくれた気付きです。

猫に何かあれば、できる限りの治療をしてあげたいと思うのは、どの飼い主も同じこと。長い治療の中、辛い日々を送ることもあるでしょう。それでも、猫と過ごす時間を少しでも幸せに、そして穏やかにできるような、そんな病院、獣医師と出会いたいものです。

 

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