とある九月の某日、わざわざ退職してまでオーストラリアへワーキングホリデーをしに行ったのであるが、結果はタイトルの通りであった。いつまでもいたい国ではなく、目標を達成したらさっさと日本へ帰るために頑張ろう、そう思える国だったのであった。

 そもそもに、ワーホリが面白くなかった、失敗したという人は、わざわざ自身のネガティブな体験を文章に起こすことすら嫌だと思うので、必然的に記事が見つかりにくくなるのだと思う。
 ワーホリ必要説をうたっているのはよく見ると仲介会社や語学学校の広告などであったりする。気にせず騙されないようにしよう。

 きっと筆者以外にもワーホリがつまらなかった、もしくは数か月間で満足をし、追加料金を払ってまで帰りの航空券の日程を前倒しした人もいるはずであるが、たまたま筆者の周りには、どうしてもオーストラリアにいたい、なんとか永住権を取りたいという人が大量にいたから不思議だ。
 何に楽しい、興味深いと感じるかは人それぞれではあるが、筆者がつまらなかった、不便に、ストレスに感じた、また3か月間で満足した点を共有したいと思う。

筆者プロフィール
27歳 東京出身
絵を描くタイプのオタク(腐女子)
お絵描き、楽器の演奏、美容が大好き
安い食べ物、コンビニ飯大好き

ワーホリで行ったオーストラリアで感じた点

①物価が高い

 まず、ネイティブの英語が聞ける以外は、何につけても東京以下であるのに、いかんせん物価が高いのである。
 筆者は時給16ドルの日本食レストランでアルバイトをしていたが、スーパーのチョコレートドリンクは3ドル、自販機の水は500mlで2.5ドルといった具合だ。もっとも、オーストラリアのローカルジョブの人たちは、カフェ店員でも22ドルほどもらっているらしかったので、そう思えば妥当なのであるかもしれないが。
 しかしいかんせん飯がまずかった。スーパーのお惣菜も、高いのをいろいろと試した。しかし必ずまずかったのである。大げさに言っているわけではない。たまたままずいのばかりに当たってしまった、などでもないと思う。どこのスーパーの何のお惣菜も必ずまずかったのである。
 衝撃であった。日本のように、コンビニやスーパーのお惣菜は必ず美味しいという環境で育ってきた者にとっては。しかも、口に合わないといった範疇ではない。まず過ぎて、高いのに、金欠なのに、それ以上どうしても食べられず捨てることとなるのである。
 筆者は幸いにも少し日本食レストランで働いていたため、出勤した日には賄いで和風弁当がでたため、それでしのいでいた。しかしすぐにクビとなり自炊する羽目になるのであった。

②バイトを2つともクビになる

 初めに、オーストラリアで酒類を提供するレストランではRSAという資格が必須となるのであるが、そこでまず躓いた。トラトラというエージェントを介し「RSA COFFEE SCHOOL」というところで一日だけの講習を受け、その日のうちにペーパーテストを受け資格をもらうというコースを申し込んだのであるが、130ドルも取られた。同じくトラトラから申し込んだという日本人は150ドルも取られたと言っていた。
 このRSAという資格、実はオンラインでも取ることができるのである。ひたすら選択式の質問に答えていくのみで、間違えればその場で受け直せるしグーグル翻訳は使い放題、すべての質問に答え終わりライセンスを発行する時点で、クレジットカードにて22ドルを支払えばいいのである。
 もちろんトラトラは仲介しそのマージンで儲けている会社なので当たり前であるが、オンラインでも受けられることなど一言も言ってくれなかった。ここは事前に調べなかった自分が悪いと素直に反省したが、この時点で、この国ではもう誰も信じないと決心するのである。
 RASをオンラインで取ることができたため(講習でのペーパーテストは落ちた)アルバイトの面接へ行き即採用され、一つ目は日本風の居酒屋でのウェイトレスとなった。日本でも居酒屋で働いた経験がないのに、である。
 しかし多くの人がそつなくこなせることでも、ままならない私のことである。予想はしていたが、言われた席へ食事を運ぶなどほかの人がきちんとできていることができないのはもちろん、キッチンの人が「本来破棄すべき食品の再利用」をしているのを目撃し、しかもそれを一瞥ではなく凝視してしまったのである。
 店長も意地が悪く、2,3日目からミスも減ってきたというのに、シフトを週3日、一日3時間程度へ減らされた。時給は19ドルであったが、ワーキングホリデービザは15パーセントもタックスが引かれるため、約16ドルである。こちらは小遣い稼ぎではなく、働かないことには生計が立てられないのであるが、そのようなことを2週間も続けられたため、文句を言ったら喧嘩となりクビになった。
 そこはイヤな女も多かった。ふつう日本食レストランなどは、ワーホリや学生が多く、数か月で辞めていく人がほとんどで、また店長と料理長以外はアルバイトということもざらにある為か、あまり威張る人などもいないと聞く。
 オーストラリア人の彼氏にパートナービザを出してもらったという日本人女に「あなたねえ、ミスサーブしたということの重みを理解しなさい!」と言われた。アルバイト相手に重みなど頭がオカシイではないかと思うがもちろん彼女もアルバイトなので、無視していた。

 二つ目のアルバイトも日本食であるが、今度は手打ちそばを売りにしている高級路線の店であった。クビになる前日に「あなたの働きぶりはとてもいい。来週のシフトは明日の夜送るから確認してね」と言われたのであるが、約束の時間には、シフトの代わりに「あなたの仕事ぶりを踏まえた結果先週末で雇用は止めさせていたきます」というメールが来たのである。
 メールは謎すぎるしどうでもよいのであるが、その時私はひどく焦燥していた。クビにされたことに関してではない。私はあろうことか「二次創作ホモの漫画のプロットの書かれたメモ」を、自身のロッカーにエプロンと共に置きっぱなしにして帰ってしまっていたのである。
 クビなどもまた、もはやどうでもよく、というかされることにももう慣れているのでとりあえず給料とともに大切なものを取りに店へ向かった。ところが、なんとロッカーは空にされていたのである。私物はどこか聞いても、捨ててはいないのでどこかにあるはずだ、の一点張りであるのだ。いっそ捨てたといわれれば気が楽だが、店のどこかに私の書いたそれが落ちているのである。
 今でも気になっているが、入店時に提出した書類はオーストラリアの住所とこちらで契約した電話番号、虚偽の履歴書のみである(職歴を盛った)。パスポートのコピーも提出していなければ緊急連絡先なども聞かれていない。履歴書は英文であったので、実家や名前の漢字も割られていないので不幸中の幸いである。

③公共機関

 ~バス編~
 たまに来るB1という二階建てのバスには、日本のバスのように、車内の電工掲示板に今はどこに向かっていて何分後にどこにつくのか、といった内容が表示される。しかしその他大半のバスにはそれがないため、自身でずっと外の風景を見張っていなければならないのだ。もしくはスマホのマップを起動させておいて、常にそれとにらめっこしておくしかない。
 乗るときもそうだ。バス停に人がいても、こちらが手を上げるなど乗る意思を見せないと停まらないのだ。私がバス停にいるにもかかわらず、乗客でそのバス停で下車する人がおらず私も白昼夢を見ていた時、それは停まらずに私は学校に遅れかけたのである。
 あとは、スイカのようなカードで「オパールカード」といったものがシドニーにはあるのであるが、いかんせん感度が低い。インドのそれよりはましであったとは思うが、そもそもに日本の技術と比較することが酷であるかもしれない。
 遅れることはざらにある。別に良いし、1分遅れただけで謝罪となる日本のほうがこれに関しては異常である。しかし、こちらのバスはむしろ早く発車することもあるのである。乗る予定のバスが来る2分前にバス停に到着し、妙に遅れていると思い調べると、4分早く発車したということになっているのであった。It’s so crazy.
 ~タクシー編~
 運よく一度も使わずに済んだのである。ほぼ24時間バスがあるということもあるし、自分は荷物が少なく、小さなカバンと20kgのスーツケースのみであったため、空港までの往復も自力でバスと電車でこなせた。
 ~電車、フェリーなどその他編~
 自宅から学校、アルバイト先、所要の場所まですべてバスで行けたので、利用する機会があまりなかった。

④語学学校

 まず人によってはぼったくりとなる価格である。8週間で約24万円支払ったし、定期などもないので、交通費は40回の通学で230ドルほど支払った。しかし結果的に行ってよかったと思っているし、英語が聞き取れるようになり話せるようにもなったので、そのような一生モノの技能を身につけられたと思えば安いと思う。
 「8週間では話せるようにならない」「12週間以上行ったほうがいい」などと絡んでくる人は無視するべき。8週間集中して聞き話していれば、できるようになる。できるようにならないと言っている人は自分がそうならずに悔しかったので、道連れにしようとしているだけであり、またエージェントなどに言われたのであればそれは金儲けの為である。
 私は8週間が一番おすすめである。4週間はいろいろと怒涛すぎるが12週間も申し込んだところで飽きてくるし途中疲れて休むと思うし、だいいち8週間無遅刻無欠席で通うことができたのであれば、惰性のように、今後むしろ英語を話さないことが気持ち悪くなってくると思うので、店員さんとの会話でも独り言でも、自然と話し続けると思うのだ。

 そして私はたまたまとても素敵な先生に当たった。私とそう年齢の違わない綺麗な女性であったが、ご両親はイラン出身で、先生はまだ幼いころに移民してきたということで、ヒジャブもつけていない。
 家族の中でネイティブは彼女だけであり、家族に毎日英語の発音など教えているし、ネイティブではない人の英語を聞き取ることにもなれているということで、何より、ネイティブではない人の気持ちを分かってくれているようであった。
 たまたまかもしれないが日本人の学生はなぜか腹立つ人が多くて、あまり関わらなかった。例えばスペイン語圏の人の英語が聞き取れないなどと言って怒っていたが、それはこちらのリスニング力の問題であると思っている。
 韓国やタイ人の女の子とは仲良くなれたし、外国人と何気ない会話ができるようになるのにも不思議な感覚を覚えた。私ミント味のお菓子苦手なの、だって別のモノを連想してしまうじゃん、とか、シドニーの物価、明洞や東京より高いよねきついよねといったものであるが、この感覚は絶対に忘れないようにしていきたい。
 今後は英語を忘れないように、コーヒー代のみのmeet upへ行ったりyoutube、格安のスカイプライン英会話などで維持していきたいし、漫画を読んだりしたい。英検1級を受けるのであれば別途難しい単語も必要となってくるので、勉強していきたい。

⑤図書館が優しい

 ルームメイトがほとんどニートだったので、常に部屋でごろごろしていた。公立図書館が、そんな私にとっての居場所であった。21時までやっておりWi-Fiと電源完備、英語版のブラックジャックやアキラ、進撃の巨人まである。それらは子供向けではないので辞書片手ではあるが面白かったしとても役立った。特にブラックジャックはピノコ語が秀逸であったのと、主人公の元カノ「恵(めぐみ)」が現在は男の船医「恵(けい)」として生きているシーンには、めぐみとけいは同じ漢字だよ、といった注釈までついていた。
 シドニーは、本当に学校、アルバイト、図書館、スーパー、ドラッグストアにしか行く場所がなかったのであるが、途中アルバイトもなくなったため、平日は14時から21時まで、土日は朝から晩まで、人の英語の雑談(こちらの図書館はおしゃべり可)を聞きながら何かしているのが、一人が大好きな自分にとって幸せな時間であった。

⑥シェアハウスがクソ

 一度引っ越している為、二か所経験している。どちらもジャムズで見つけたもので、最初の家は内覧をせずに日本でのメールのやり取りのみで決めたものだ。
 一つ目の家は戸建てで、オーナーの糞爺と日本人女性3人でシェアしているというものであった。家賃は160ドル/週。一つ屋根の下に糞爺がいるらしいという薄ら寒さは感じられたが、オーナーのスペースとシェアハウスとして貸し出しているスペースは分かれているということであった。しかし実際には分かれていなかった上、キッチンなどで調理をしていると、背後からI’m here.などと言いながら絡んでくるのである。ショートパンツの部屋着などでも出歩けなかったし、なぜ男性向けに広告を出さないのかという謎を抱いたまま、そそくさ退去した。
 初めにボンドとして二週間分の家賃を払っており、退去時に返してもらう約束であったが、最低入居期間が一か月間にも関わらず二週間と経たずに出ていったから契約違反ということでレントは取られたままであった。

 二つ目の家は高級住宅街にあるマンションの一室を女性6人で共有するという家であった。家賃は145ドル/週。オーナーはいないし女性はみんな優しかったのであるが、いかんせん汚すぎた。洗面台で歯磨き中にうっかり目を開けて水回りを視界に入れてしまえば、本気で吐きそうなほどにえづくし、シャワー中に壁に身体が触れてしまえばそこを何度洗っても落ち着かないほどになるのである。
 私の部屋は、一人でも狭いかもしくは子供部屋程度だったのであるが、その部屋に大人用のベッドと勉強机が二つずつあった。プライベートなど皆無であったが、いかんせん格安なので仕方がない。
 どちらの家も、前者のオーナーを除き、いやな人間もいびきなどでうるさい人間もいなかったので、本当に周りに感謝している。

⑦シドニーはオタクに厳しい都市

 まず、同人誌など絶対に売っていないし、アニメイトやまんだらけも当然ない。あるのはQVBにある「ホビコ」というガンプラなどの店と、紀伊国屋に漫画とアニメグッズが多少売っているといった次第である。あとは日本のゲームセンターを模したお店には太鼓の達人や、美少女フィギュアが景品のUFOキャッチャーなどもあったが、いずれも割り増し価格である。
 600円ほどの日本の漫画は20ドル近いし、アメコミなども高価で、私は手塚治虫のMWの北米版が欲しかったのであるが、31ドルもした。本当に欲しかったが店頭分が汚かったので新しいものを取り寄せてもらった。入荷したら連絡をくれるとのことであったが結局数か月たった今、連絡は来ていない。まあシドニーで買っても日本で買ってもアドバンスドプライスであることには変わりがないので、なんとか手に入れようと思う次第である。

⑧自然が多い

 シドニーの良いところとして、よく自然の多さがあげられる。が、確かに東京よりも町中に緑は多いが、東京の人間も登山のために埼玉の山などへ行けば自然と触れ合えるのではないだろうか。オーストラリアが大好きで、永住権を取ろうと頑張っているルームメイトに、シドニーでの生活が暇で暇で仕方がないのだけれど、おすすめはあるかと聞いたらビーチに行きなと言われ、一人で行ったことがある。何が面白いのかがわからず10分散歩して帰ってきた。その10分間も頑張ったほうである。もう少し散歩をすれば何かが見えてくるかもしれないと思いながら過ごした10分間であった。
 なお、ロックスやオペラハウス、ルナパーク、シドニー大学などまとめサイトなどで紹介されているところは全て行ってみたが、同じような具合であった。
 私はエジプトやタイなど歴史のある街で、宗教的な建造物など、どうやら、人工的に作り出されかつ古いものが好みであるらしいことがわかった。
 ちなみに野鳥は本当に様々な種類がおり、とても可愛かった。

⑨飯がまずすぎる

 オーストラリア人も、自炊以外でごちそうや美味しいものを食べに行こうという話になると、和食や中華、イタリアンレストランへ行くという選択肢になると聞いた。
 スーパーのお惣菜、コンビニの食べ物は本当にまずいのだ。必ずまずい。必ずは大げさだと思うが、試しに一通り買ってみたお惣菜は本当に全てまずかったのである。日本は当たり前においしいし、外国人は日本でコンビニ飯のクオリティの高さに狼狽することもあると聞いたことがあるが、私も帰国し狼狽した。
 金欠で食べ物を捨てている余裕などないのであるが、本当に我慢をすれば食べられるというレベルではなかったので、野鳥にあげるなどした。
 スーパーの野菜や肉は美味しく、辛ラーメンも日本で売られているものと同じ味がしたので、毎日辛ラーメンまたはゆでたパスタに焼いたズッキーニに塩とオリーブオイル、トマトソースを和えたもの、これらで飢えをしのいだ。
 タピオカドリンクのお店は東京よりも多かったかもしれない。中華街は、タピオカ店の隣がタピオカ店、アイスクリーム店を挟んでタピオカ店といった具合であった。1杯安くても5.5ドルなどであったが、日本の味(?)が恋しくたまに買っていた。

⑩やはりシドニーがつまらない

 上記のいくつかの項目と重複するが、やはり都市自体に魅力を感じることができなかった。私が東京の人間だからというのは関係があるのだろうか。まずコンビニがクソだし、コピーはわざわざ文具店へ行ってプリペイドカードに入金してから初めてできる、といった不便さなのに、バーバリーの路面店などはあり、ブランド物は買える。
 オペラハウスとかロックスとか、見どころとして紹介されているが、見ても、だから何?としか思えなかったのだ。歴史の短い国だからだろうか、日本人からしてみれば、正直取って付けた感が否めなかったのだ。
 日本の田舎出身のルームメイトは楽しんでいたけれど、都会育ちだったり、東南アジアなどに魅力を感じるタイプの日本人には感動が得られにくいかもしれない。ビーチもだから何といった感じであった。
 仮に私が、これからオーストラリアに死ぬまで住まなければならないといった状況になれば、発狂するか、日本からDHLで同人誌など取り寄せまくり破産するかのどちらかであると思われる。しかし取り寄せればいいというものでもない。秋葉原や池袋、中野へは直接足を運ばなければ、私の精神と肉体は朽ちていってしまうと思うのだ。

⑪カラオケの問題

 一人カラオケが三度の飯と同じくらい好きだが(本当に一人で8時間とか曲の重複なしで歌い続けられる)こちらのカラオケは高い。エコーポイントというタウンホール駅近くのカラオケバーがあるのだけれど、私が一人で値段を聞きに行ったときは、一人で1時間14ドルだと言われた。平日だったか土日祝だったか、朝だったか夜だったかは忘れた。
 日本へ帰り、シティベアやまねきねこにて格安のフリータイムで歌いまくることを夢見てじっと我慢していたので一度も行かなかったのであるが、エコーポイントはジョイサウンドであるらしかった。

⑫日本に帰ったらどうしよう問題

 考えてはいけないと思いつつ考えてしまう。体調が悪いときなど。
 でも、難しい単語はまだ分からなくても学術書が読めなくても、英語を話してネイティブの話を聞き取れるようになった私はいくらでもなんにでもなれるとか思い、考えるのをやめていた。

⑬暇すぎて創作する時間ができた

 日本だと普通に生きていても絵のうまい人や演奏のうまい人などたくさんいる。別段自分が生み出す必要もないかなと思えてしまうのだ。しかしやることがなくて(やることないけどカラオケ行くとか中野で中古品を物色するとか、そういうのがない)、自然と絵を描いたり二次創作をやったり、歌詞を考えるなどしていた(ギターは持ってきていなかったし、曲を作れるようなパワーのあるPCなど持っていなかったし買うお金もなかった)。
 面白かったのが、私は別段絵がうまいほうでもないのに、うまいうまいとはやし立てられた経験をしたこと。なるほど、小説や漫画とは違って、絵はこうやってコミュニケーションが苦手な私のツールになってくれるのだと思ったし、一刻も早くもっとうまくならなければと思った。
 先の項目にも出てきた、シドニーの紀伊国屋(こことQVBのホビコとか、オタクのスポットは数えるほどで、あとは街中に画材屋さんもあるけど、原稿用紙や付けペンは売られていなかった)でなにかのイベントをやっていて、壁にラクガキスペースのような白い模造紙が貼ってあった。そこにシャアと綾波レイ、アトムを描いたのだけれど、それだけで群衆ができ大ウケであった。

⑭話にオチがなくてもいい

 語学学校で、ディベートの時間になり、勝った方(相手を言い包めるなどではなく、文法の正確さなどで競う)のチームにはチョコレートがもらえるということになった。チーム名を考えることとなり、私がchololate is oursって言ったら爆笑である、何一つ面白くなどない。そして相手チームに名前を考えて欲しいと言われたのでchololate is yoursにしてやった。
 ディベートは、発言しなければ金がもったいないという意識に駆られた為にできるようになったしそれは本当に良かった。
 日本では一人で脳内会議を常に繰り広げているくせに、できれば最後の方に発言したいし、発言せずに済むならそれに越したことはないくらいに思っていたので、良い経験であった。

⑮見た目が自由

 本当に道行く人みなタトゥーを入れており、眺めていて楽しかった。警察も医者も、先生もタトゥーを入れていたし髪の色もカラフルであった。そもそもに髪の色を明るさで規制している日本の企業のほうがまずいとは思うが、色々な見た目であるのが当たり前といった国風はとても良かった。

⑯日本より秀でているところ

 ATMは24時間開いていて、引き出すのに手数料は取られない。
 またアップル製品など、1ドル72円~75円くらいなら、日本で買うよりだいたい安い。
 図書館が本当に秀逸で、日本のように静まり返っていないから、PCが打ちやすいし高校生同士のおしゃべりを盗み聞ぎするのもリスニングの練習になってとても楽しかった。

終わりに

今回の経験でよかったところ

 やはり英語を話すのが恥ずかしい、というものがなくなったこと。初めの一か月間は、えーっと日本語でこれは英語でなんて言うんだっけ、といちいち考えていたので会話のラグがすごかったが、徐々にその時間が短くなっていき、その後はよく使うフレーズは暗記できてきて、考える時間が無くなった。
 そして徐々にではあるが、いちいち考えずに話せるようになった。また、初めは英語が聞き取れなさ過ぎて、私は一体いつになれば聞こえるようになるのか、と不安だったけれど、話せるようになってきてから聞こえるようになってきた。
 人生のどこかで、そういえば「自分が言えない音は聞き取れない」と聞いたことがあったようなかったような気がする。だから高校の先生はシャドーイングなどで音読をしつこくさせたのかもしれない。

悪かったところ

 やはりクソつまらない街であり、永住したいなどとうたっている人は正気なのかと考えてしまう。
 また、別にワーホリは面白いものでもないのに、世の中にはたくさんの「ワーホリに行ってよかった」「人生の転機」とうたっている人々が存在する。
 それなのに、大勢が楽しんでこなしているものを上手いことやれなかった時に、人として何かが欠落しているのではないか、どこかオカシイのではないかと不安になってしまっている人たちに、今回の記事をささげたい。