特殊部隊はどのような武器を使っているのでしょう?

特殊部隊とは、軍隊や警察において、一般の部隊とは異なる特殊作戦を担当している部隊で、対テロ作戦や人質救出、ゲリラ戦などその任務は様々です。
普通とは違う任務を与えられた部隊なら、普通とは違う武器を装備していてもおかしくはありません。
実際には、特殊部隊といってもその装備品については一般部隊に準ずるものがほとんどです。
しかし、中には特殊部隊向けのカスタマイズが施されていたり、多くの特殊部隊で採用されている銃というものも存在しています。
ここでは、世界各国の特殊部隊が装備する銃を紹介していきます。

HK416

HK416は、ドイツの名門銃器メーカーであるH&K(ヘンケラー・ウント・コッホ)社が、アメリカ軍で使われているM4カービンライフルの改修を依頼されて開発したアサルトライフルです。
H&K社は、欠陥の多かったイギリス軍のL85A1の改修を成功させた実績があり、これを買われてこの依頼につながりました。
M4カービンは、一般的なアサルトライフルと異なる独自の作動方式を採用していますが、これが砂漠のような特殊環境下での使用では、きちんとしたメンテナンスを行わないと作動不良を起こしてしまうという欠点を抱えていて、兵士からの不評を買っていました。
これが、H&K社に求められた最大の改良点で、その他、照準器などの装着できるオプション装備が十分にないという不満点もありました。
HK416はショート・ストローク・ピストン方式という作動方式を採用しています。
これは、弾を撃った時に出る燃焼ガスの一部をバレルから取り込んでボルトを後退させる方式で、機関部が汚れにくく機械的信頼性が高くなり、射撃時の安定性も得られます。
この方式を採用したことは、HK416の高い評価につながりました。
さらに、ハンドガードに付けられたピカティニー・レール(アクセサリー装着用レール)には、光学照準器をはじめとする多くのアクセサリーを取り付けられます。
また、カスタムパーツの種類が豊富なのも特徴で、純正品だけでなく、サードパーティ製のものも多く出回っています。
当初はH&K社のM4ということでHKM4という名称でしたが、M4カービンのメーカーであるコルト社から商標権侵害の訴えがあったため、HK416に改められました。
アメリカ陸軍の特殊部隊デルタ・フォースに採用されたことから、「デルタ・フォースの銃」として有名になったHK416は、その完成度の高さから本家のドイツ、フランス、ノルウェー、アメリカ海兵隊など世界25か国以上の軍隊や警察などの法執行機関で採用されています。
日本でも、研究目的という名目で購入されていて、陸自の特殊部隊である特殊作戦群や海自の特別警備隊での使用が噂されています。

FN SCAR

FN SCARは、ベルギーのFN社が2004年に開発したもので、SCARとはSpecial (Operation Forces) Combat Assault Rifleの頭文字をとったもので、日本語にすると特殊部隊用戦闘ライフルという意味になります。
FN SCARは、その名の通り、特殊部隊のために作られたアサルトライフルなのです。
多様な任務をこなす特殊部隊は、作戦によって要求される武器の性能も様々です。
そのため、FN SCARは5.56×45㎜NATO弾を使用するSCAR-Lと、7.62×51㎜NATO弾を使用するSCAR-Hの2つのタイプがあり、それに加えて3種類の長さ(CQC、STD、LB)の銃身が用意されているため、これらを組み合わせた6種類のなかから任務の内容に適したものを選ぶことができるようになっています。
さらに、工具を使わなくても分解・整備が行え、ホログラフィック・サイトやライト、スコープ、折り畳み式銃床といった豊富なアクセサリー類を装着することができるのも特徴です。
各パーツは互換性が高く、これによって維持コストを削減することに成功しています。
SCARは、2007年からアメリカの特殊部隊で採用され、SCAR-LがMk.16、SCAR-HがMk.17という名称で運用され、レンジャー部隊でも採用されています。
アフガニスタンやイラク戦争で試験的に導入され、実際に特殊部隊の隊員によって使用されました。
アメリカの他にもポルトガル、ペルー、チリなどで採用され、日本でも研究目的のために購入しています。

H&K MP5

H&K社が開発した短機関銃MP5は、世界中の軍の特殊部隊や警察の対テロ部隊から圧倒的な支持を集めるベストセラーで、まさに名銃の名がふさわしい最高のサブマシンガンです。
生産開始は1964年で、50年以上経った今でも、特殊部隊のなかではこれに代わる銃はないとされ世界中で高いシェアを誇っています。
MP5は、ローラー・ディレイド・ブローバック式(ローラーロッキング)という動作機構を採用しています。
これは、弾を撃つ時のガス圧を下げることでボルトの後退を遅らせるというもので、射撃時の反動を抑制し、弾丸の集約率・命中精度を高めることができます。
その代わりに、この方式には普通のサブマシンガンよりも構造が複雑になり、製造やメンテナンスのコストも高くなってしまうというデメリットがあります。
サブマシンガンという武器は、一般的に安価な銃で、大量生産によって大量配備し、多くの弾をバラ撒くことを目的にしています。
この観点からすると、MP5はサブマシンガンとしてはこれほど高い評価を得られるものではないはずです。
しかし、これが特殊部隊や警察などテロリストとの戦闘や人質の救出といった特殊な任務に従事する組織の場合には、サブマシンガンのもつ高い火力に加え、高い命中精度をもつMP5は高い有用性と大きな需要をもった銃といえるのです。
最初は値段が高いために敬遠され採用も少なかったものの、次第に評価が高まっていきました。
特に、1977年にドイツで起きたルフトハンザ航空181便ハイジャック事件で、ドイツの警察特殊部隊GSG-9の隊員がMP5を使って、狭い航空機内で迅速にテロリストを倒し、人質救出を成功させたことから、一躍その名が知れ渡るようになり、各国の特殊部隊が競うようにして採用をはじめました。
アメリカ海軍の特殊部隊シールズ向けのモデルであるMP5Nや、特殊部隊向けにサイレンサーを装着したMP5SD3など多様なモデルが存在しています。
日本でも警察特殊部隊SATがメインウェポンとして使用しており、海上保安庁の特殊警備隊SSTでも使われています。

P-90

P-90は、ベルギーのFN社が開発した銃で、PDW(Personal Defense Weapon)に分類され、日本語では「個人防衛火器」といわれる短機関銃に類似した少し特殊な銃です。
サブマシンガンは、拳銃弾を使用していますが、P-90の場合は貫通力を重視した新型の弾を使用し、そのため新カテゴリーの銃に分類されるのです。
P-90の弾丸は、ボディーアーマーへの貫通力は高く、それでいて、柔らかい人体に到達すると弾が横向きになって止まるという特殊な性質をもっています。
これによって、敵の体を貫通した弾が周囲の人やものを傷つけることがなく、人質のいる空間でも使用することが可能です。
人間工学に基づいた変わったフォルムもP-90の特徴で、弾丸が銃の後部で90度回転して装弾されるという機構によって従来のサブマシンガンを上回る50発という装弾数を実現していますが、独特な動作方法のため弾倉交換にはコツがいるようです。
空薬莢が他の銃のように横からではなく、真下から排出されるため、使う人間の利き手を選ばず、戦闘中も状況によって左右に構え直すことができます。
ただ、足元に散らばった弾丸で、足を滑らせたりすることのないように注意しなければなりません。
もともとは後方部隊の兵士が自衛用に使うために開発されたものですが、むしろ建物など閉鎖空間での戦闘用に向いていることから、各国の特殊部隊で採用が進みました。
フランスの特殊部隊であるGIGN(国家憲兵隊治安介入部隊)などで使われ、1996年の在ペルー日本大使公邸占拠事件で突入するペルー軍特殊部隊が使用したことでも有名になりました。

まとめ

特殊部隊が装備する銃は、命中精度が高いなど精巧な造りのものが多く、それに伴い価格も高価になっています。
普通の部隊なら敬遠されるこうした装備が採用されるのも、それだけ特殊部隊の任務が正確かつ高度な射撃技術を要するものであり、それに見合った武器が必要だと認識されているからで、彼らが精鋭部隊であることの証明といえるでしょう。

 

自衛隊が集まる婚活イベントはこちら!