世界的にも人気の観光地、京都。世界遺産にも登録されている神社仏閣を中心に数多くの観光スポットがありますが、鉄道オタク的にイチオシなのは「嵐電」の愛称で地元の人に親しまれているローカル鉄道・京福電鉄です。今回は、京福電鉄(以下、嵐電)の魅力をたっぷりご紹介します。
全長11キロの間に見どころたっぷりの嵐電沿線
京福電鉄には、嵐山線と北野線の2つの路線があります。嵐山線は、嵐山から新選組で有名な壬生に近い四条大宮までを結ぶ路線です。北野線は、嵐山線の途中にある帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅から北野天満宮に近い北野白梅町を結ぶ路線です。
営業キロは、嵐山線が7.2キロメートル、北野線が3.8キロメートル。両方合わせても11キロメートルの小さなローカル線です。所要時間は、嵐山から四条大宮までは24分、帷子ノ辻から北野白梅町までは11分。電車の旅と呼ぶには、かなり短い距離でしょう。
しかし、嵐電の沿線には見どころがたくさんあります。
神社仏閣であれば、世界遺産に指定されている仁和寺・龍安寺・天龍寺、近年パワースポットとして知られるようになった車折神社、ユニークな三本柱の鳥居で知られる蚕ノ社があります。さらに国宝第一号の弥勒菩薩半跏思惟像がある広隆寺も沿線のすぐ近く。
また、時代劇の撮影によく使われる東映太秦映画村や新選組で知られる壬生寺など、時代劇好きな人にとっても楽しめるスポットも。
昭和レトロな雰囲気残る商店街や、路面を走る区間、単線区間、近畿の駅百選にも選ばれた古い駅舎など、レトロな雰囲気ある光景にもたくさん出会えます。
また、ワンマン運転の運転席のすぐ近くに立って運転手気分に浸れたり、春には桜並木を駆け抜ける「桜のトンネル」を楽しめたりなど、電車に乗る楽しみもたっぷり味わえます。
さらに、1日乗車券は大人500円。ワンコインで1日たっぷりローカル電車の旅と沿線観光を楽しめちゃいます。
嵐電の車両・車内の様子
まずは、車内の様子から。内装はいくつかバリエーションがあります。このえんじ色のシートの車両は、その中でもポピュラーなタイプのひとつです。
運転席の後ろに立つと、運転台まで手が届きそうな錯覚に陥ります。
ここからの眺めは、鉄道ファンならたまらない光景のひとつでしょう。車内でも人気のポジションで、ここから写真や動画を撮影している人も時々見かけます。
続いて、外観です。一般的な車両は、京紫色に塗装されています。
京紫色に塗装が変更されたのは、2010年のことです。京福電鉄100周年を記念してのリニューアルでした。とはいえ、全車両が塗装変更されたわけではありません。一部は旧塗装のままで運行を続けています。
旧塗装は、クリーム色とグリーンのツートンカラーです。
また、レトロ風の車両も2台運行されています。
このほか、ラッピングカーも運転されています。沿線に東映太秦映画村があるため、しばしば新選組などを扱ったアニメや映画とのコラボ車両が運行することもあります。2018年の夏には、実写版『銀魂』とコラボした車両が走っていました。外観には出演者の写真がラッピングされ、車内には作品紹介のポスターが貼られていました。
嵐電の沿線風景
続いて、沿線風景をご紹介します。
まずは、嵐電のアイコン的な風景のひとつ、広隆寺の前を走る嵐電から。太秦広隆寺駅下車すぐに見られる光景です。
同じくアイコン的な風景のひとつ、三条通りの路面区間を走る嵐電の様子です。
西大路三条駅から蚕ノ社駅までの区間、嵐電は断続的に併用軌道(路面区間)を走ります。この区間の三条通りは道幅も広いため、渋滞などに巻き込まれることもほぼありません。快適な路面電車の旅を楽しむことができます。
北野線は、住宅と住宅の間を縫うようにして走る単線区間。
途中2ヶ所に行き違い駅があり、そこで電車が行き違います。
ライターおすすめ!特徴的な駅5選
では、嵐電沿線の中でも特に特徴的な駅をご紹介します。
西院(さい)駅
西院駅は、四条大宮を出た次の駅。西院と書いて「さい」と読みます。阪急の場合は「さいいん」になります。
西院駅は上りと下りでホームの位置が違う千鳥式ホーム。特におすすめなのは、嵐山方面行きのホームです。
ここは、なんと目の前に嵐電の車庫があるんです!
電車を待っている間、車庫の光景をじっくり堪能できて楽しい駅ですよ。
また、西院駅の上り・下りホームの間には四条通が走っています。ここは嵐電の通過に合わせて信号が変わるのですが、なんと警報音が鳴るだけ。踏切の遮断器はありません。車の目の前を悠々と電車が通っていきます。
山ノ内駅
路面区間にある駅、山ノ内駅は、ホームが道路の真ん中にあります。路面電車にはよくあるタイプの駅なのですが、ここのプラットホームはとても低くて、幅も狭いのが特徴です。そのためプラットホームに立って待つのはとても危険。電車を待つ人はプラットホームではなく歩道で待つように、看板が出ています。
電車が来たら歩道からプラットホームに渡り、「よいしょ」と電車によじ登ります。ホームと電車の乗降口の高さ、この写真でわかりますか?
嵐山駅
嵐山線の終着駅は、京都を代表する観光地のひとつ嵐山にあります。観光客も多く訪れるため、この駅は設備が非常に充実しています。
たとえば、駅のホームの端には足湯。200円で入れます。利用したい場合は駅員室に申し出ます。200円でタオル付きという価格はかなりリーズナブル。足湯に浸かりながら発着する電車を眺める、なんて贅沢もできそうです。
駅の中には、お土産物屋さんやコンビニエンスストア、バル、カフェなどもあります。きっぷがなくても入場できるので、何か買ってホームのベンチに座ってのんびりという使い方もできますよ。
また、最近は駅の上にカプセルホテルもできました。観光の拠点としてもかなり活用できる駅です。
御室駅
御室駅は、北野線にある駅です。ここの駅の特徴は、近畿の駅百選にも選ばれたレトロな外観です。
「御室駅」の看板がレトロなのがまた魅力的。
御室仁和寺にも近く、桜の季節には多くの観光客が利用します。駅を出て真正面の道を行きくと、すぐに仁和寺の山門が見えますよ。
龍安寺駅
北野線にある龍安寺駅は、世界遺産にも指定されている、石庭で有名な龍安寺への最寄り駅です。一見普通の駅に見えますが、ここのおすすめポイントは帷子ノ辻行きホームに整備されている花壇です。
春になるとチューリップなどが咲きます。花壇の横には桜が植えられていて、桜とチューリップの共演が見られますよ。
また、龍安寺駅から龍安寺に向かう道は、龍安寺参道商店街という商店街になっています。商店の数はかなり少なくなってしまっていますが、商店街の上に張り渡された三角旗がなんとなくレトロでいい感じなんです。
商店街から見る嵐電も、レトロな雰囲気たっぷり。龍安寺に観光に来たら、ぜひチェックしておきたい光景です。
まとめ
京都のローカル鉄道、京福電鉄こと嵐電の紹介でした。この鉄道は走行距離こそ短いですが、街、住宅地、寺社仏閣、観光スポットなどバリエーションに富んだ沿線を楽しめる路線です。地元の人の足としてはもちろん、観光客の足としても便利な路線でもあるので、京都観光にきたときにはぜひ乗ってみることをおすすめします。