更新か返納か

傷害致死などに繋がる悪質な「あおり運転」に注目がゆきますが、やはり、後を絶たないのが、高齢者の運転による事故であります。「駐車場から発進するとき、コンビニで駐車するとき、交差点にさしかかって停車させるとき・・ブレーキとアクセルを踏み間違えて店舗に突っ込んだり、追突したり」「うっかり、信号を見落としてしまう」「一旦停止の標識が目に入らなかった」「高速道路を逆走しているのに全然気がつかなかった」「夜間走行中のライトに幻惑されることが多いので怖い」「バックでの車庫入れが苦手になった」などの声が高齢者ドライバーから聞こえてきます。私自身も70歳を超えてからは夜間や雨天時の走行が苦手になってきましたし、バックでの駐車場入れや車庫入れには大変気を遣うようになって来ました。高齢者の運転につきましては事故が起きるたびに、免許証を自主返納すべきであるという論調になっていますが、高齢者それぞれの運転技術や経験、心身の健康状態、また、交通網が充実している都心と異なり、地方では車が生活維持の手段として必要だという環境もあり、一概に年齢だけで区切ることには問題があります。高齢者の事故を減らすためには免許証返納以外の策はありませんと言い切る人も大勢おられます。免許証の更新が近付くたびに、返納すべきが最善の策であると言われ続けております。また、
著名人や芸能人、俳優が返納したと公表していることも返納推進に拍車をかけているのかも知れません。私の場合、昭和40年に取得して以来、半世紀が経過しました。自分から相手方への人身や物損の事故を起こしたことは皆無です。追突されたり、自分で電柱や壁をこすったりはしておりますが自分の不注意から誘発した事故はありませんでした。運転は性格が出ると言われておりますし、豹変させるとも言われております。(車は走る凶器)と表現されますが、まさにその通りだと思います。とくに、高齢者の運転だけが車社会に害毒を撒き散らかしていると思われるのは心外ですが、現行の更新時における「高齢者講習」にも問題があるように感じるのです。75歳以上の更新者には3年前の法改正により「認知機能検査」が義務付けられました。事故の抑止力に繋がるものでしょうが、検査をパスすれば、「高齢者講習」を終了して更新可能になります。今少し、きめ細やかな検査及び講習方法があれば良いのではないかと考えてしまいます。いずれは、高齢者の乗る自動車には物理的な抑止装置が付随されていなければならないという予測もするのです。

具体的な手順と内容

更新月の約半年前から在住の都道府県公安委員会より通知が届き一連の手続きが開始されます。私の場合は大阪府在住につき「大阪府公安委員会」からの通知になる訳です。①令和元年6月
10日付けで「更新時認知機能検査通知書」が届きました。検査のための会場(自動車教習所)を探して予約を取らなければなりません。元年7月17日の予約が取れましたので一安心。当日は約30分の機能検査で実車指導などははありません。検査内容は(1)年、月、曜日、時刻が正しく回答されているかどうか(2)18種類のイラストを見せておいて、他の話を聞かせた後に回答させ、正しく回答されているかどうか(3)時計が正しく描かれているかどうか(例えば11時10分の時計を描く)以上3点の問題から認知機能の度合いを判定するものです。費用は750円でした。②以外に早く、元年7月19日に「認知機能検査結果通知書・高齢者講習通知書」が届きました。認知症検査の結果は88点で記憶力・判断力に問題はありませんとの通知でした。同時に次の段階である「高齢者講習」受講の準備にかかります。再び(自動車教習所)での予約探しですが、運よく元年9月6日の予約が取れました。(運よく)と表現しましたが、先の「認知機能検査」と同じく自動車教習所の予約がとりにくいのです。それだけ高齢ドライバーが多いという証でしょうか。当日は座学と室内での検査および実車指導です。時間は2時間、費用は5,100円でした。室内検査は視力(静止・動態)、視野について実施されますが、私の場合、静止視力は0.8で規定をクリアー、動体視力は0.1で平均ですが、注意を要するとの診断でした。視野につきましては185度で、少し劣るが普通であると診断されました。実車指導につきましては教官が便乗され、私の運転技術を目視している状態であり、運転終了時にはその場で講評があります。私を含め3人が乗車しておりますので、共通した指導として、交差点での徐行、一旦停止の標識を守る、早めのブレーキ操作、左右からの人や自転車に注意、スピードを控えめにした走行を心がけるなどの項目を挙げられました。全体終了時に「高齢者講習修了証明書」が配布され無事にスルーした感じでした。元年10月11日に「運転免許更新連絡書」が届き、残るは更新申請のみとなりました。府下の各警察署でも申請できますが、私の場合は毎回、(門真運転免許試験場)へ直接出向いて申請、即日交付していただく手続きをしております。今回も、11月に入ったら運転免許試験場へ行きたいと考えております。ここで現実にありました更新にかかるエピソードを紹介します。主人公は私が行きつけにしております理髪店の主人で、年齢が78歳、更新は令和元年9月です。私より2カ月早い誕生月ですから、「認知機能検査」にかかる通知書は4月に届いておりました。自動車教習所で予約を済ませ7月末までに検査は終わっておりました。8月に散髪に行きまして何気なく免許更新の話をしておりますと一点不思議なことに気がつきました。主人に(高齢者講習も済ませたのですか?)と聞きますと、講習は受けていないとの返事でした。「認知機能結果通知書」のハガキが届いていませんかと再度質問すると、届いていないとの返事です。高齢者講習修了の証明書を持参しないと更新申請は受け付けて貰えませんよと言うと驚いておられました。早速、警察に問い合わせ、どのように手続きをすれば良いか聞きなさいとアドバイスして帰りました。この主人の場合、8月から10月までに更新申請をしなければならないので、講習予約会場を探すのにも大変苦労するからです。9月初旬に散髪に行き顛末を聞きますと、警察は、高齢者講習の予約日が決定していれば、先に更新申請は特例的に受け付ける。ただし、「高齢者講習修了証明書」を必ず提出することが条件となり、提出が無ければ免許を失効する手続きをとると言われたそうです。10月初旬に散髪に行きますと、9月30日に講習を済ませ、証明書を届けたと大変喜んでおられました。教えていただいて良かったと感謝されました。

今後の課題

今回の更新をスルーした後は3年先の更新になります。2022年(令和4年)で、満82歳を迎える年に当たります。この年を最終の更新年と考えて挑むか、返納するかの迷いは生じますが、正直どのように心身の健康状態が変化しているかの予想もつきません。気持ちの上では令和4年の更新を最終にしたいと考えており、状況次第ではいつでも返納して良いだろうと心得ております。さて、今年の更新時に配布されます教習本の中に「警察庁交通局交通企画課」からのコメントが挟み込まれております。その内容は平成31年4月19日、東京都豊島区東池袋で発生した高齢者による交通事故で、妻と長女を亡くされた松永さんからのメッセージです。ご遺族松永さんご本人のたっての希望を警察庁は尊重し、一般講習も含め、とくに、高齢者講習には必ず触れることとなったそうです。個人情報には関係なく、周知徹底を図る目的を持つものと講習で聞かされました。ここで、メッセージの後段部分を引用します。
「・・それぞれのご家庭で事情があることは重々承知しておりますが、少しでも運転に不安が
ある人は車を運転しないという選択肢を考えてほしい。また、周囲の方々も本人に働きかけて
ほしい。家族の中に運転に不安がある方がいるならば、今一度家族内で考えてほしい。それが世の中に広がれば、交通事故による犠牲者を減らせるかも知れない。そうすれば、妻と娘も浮かばれるのではないかと思います。」
免許更新を終えて、少なくとも向こう3年間は運転するわけですが、松永さんのメッセージを
胸に刻み込んで、よりいっそう安全運転に取り組みたいと決意しております。自らが加害者にも被害者にもなりうる交通事故。一人一人が危機感を持つことも大切なところでしょう。