いやー、秋ですよ皆さん!
例によって、この原稿がいつ掲載されるのかわかりませんが、少なくとも、この原稿を書いている9月下旬現在はとっても気持ちのいい天気です。
陽射しは暖かく、風はさわやか、うーん言うことなし!
行楽日和?
ハロウィン?
そんなことばかり言う輩は、こんな陰気臭いコラムなど読まずにUSJかディズニーランドにでも行って爆ぜてしまえばよろしい。
こういう日こそ、外へ出かけましょう!
我々の愛するハペの季節ですよ!

ハペ屋の秋?

秋という季節はですね、フィールドでハペに会うには絶好の季節です。
なぜか。
まず、朝晩の気温が下がることが挙げられます。
変温動物たる彼らは、夜間に下がった体温を日中に上げなければ、満足に活動することができません。
そのため、けっこう見つけやすいオープンな場所に出てきてくれます。
これが真夏だと、逆にオーバーヒートを防ぐため、早朝に少しだけバスキングしてすぐ隠れちゃいます。なんとなく、暑い夏こそ爬虫類!なイメージがありますが、真夏はあんまり適していません。こっちだってバテちゃうし。真夏はハペにもおっさんにもツライ季節です。
その点、秋は陽射しが絶妙で、長時間バスキングしないとなかなか体温が上がりません。その分、彼らに出会える時間が増えるのです。
まぁ何気に台風の季節でもあるんですが、荒天の間は彼らも活動できないため隠れています。そこで消耗した体力を補うため、台風一過の晴天にはよく活動します。台風や低気圧由来の荒天はあるものの、ジトジト雨が降り続くことの少ない秋は、ハペたちを探すには大変好都合です。
さらに、日本のハペは冬に冬眠を控えています。冬眠中は仮死状態になるため、クマの冬眠とは生理的なシステムが違うのですが、それでもある程度の栄養を蓄え、体力をつけようとします。そのためにも、積極的にバスキングし、できるだけ餌を追ってたくさん食べようとするわけです。
実は、ほとんど同じ条件が早春にも当てはまるのですが、敢えて秋をチョイスしてご紹介します。なぜって、今思いついたんだもん。

トカゲ・カナヘビ編

ニホントカゲ、ヒガシニホントカゲ、ニホンカナヘビなどに出会うなら、公園がオススメです。特にニホンカナヘビは、ちょっとした緑のある公園なら必ずと言っていいほど見られます。ニホントカゲやヒガシニホントカゲはカナヘビよりも見つけにくいかもしれませんが、やや日陰の多い湿った空気の公園や緑地に多い気がします。田んぼの脇の雑木林とかもいいですね。
行くなら、よく晴れた日の午前中です。日光を好む彼らは、まさに秋の陽射しでバスキングしているところを狙うのにちょうどいい相手です。
あんまりムキダシの自然より、遊歩道があるような場所を選び、そういった場所をゆっくり歩きながら探しましょう。遊歩道沿いの石積みの上や、木柵の上などを、よく注意しながら歩きます。このとき、足元ではなく数メートル先の地点を見るようにしましょう。基本的に警戒心の強い彼らのこと、足元だけを見ていても、すでに逃げおおせた後ってことがほとんどです。
ニホンカナヘビ
こちらは、遊歩道の木柵で日光浴していたニホンカナヘビ。
ヒガシニホントカゲ
こちらは、公園に設置された看板の足元の穴から顔を出していたヒガシニホントカゲ。
どちらの個体も、すでにこちらの存在に気づき、はっきりとこちらを見ているのが分かりますか?
トカゲやカナヘビに気づかれずに接近するなど、不可能です。捕まえるにしろ撮影するにしろ、気づかれずに接近するのではなく、警戒させずに接近する、と考えます。
この写真を撮ったとき、わたくしはできるだけ動きをスローにしつつホフク姿勢をとり、ゆっくりと撮影可能距離まで近付きました。
彼らは視覚に頼って生活しているので、コチラとの距離をよく見極めています。速い動作で急速に接近すると、捕獲(または捕食)されると思って逃げてしまうのです。捕まえる場合は、彼らの動きよりも早く動いて捕まえるか、彼らにまったく気づいていないフリをしながら近付くかしないといけませんが、撮影の場合はそこまで近付く必要はありません。
バスキング中、彼らはお腹を広げ、のんびりとくつろいでいます。コチラの接近に気づき、そろそろ逃げようかという雰囲気になると、地面にべったりとつけていた頭部を持ち上げ、片足が動いたりします。が、それ以上寄らなければ、すぐには逃げません。その距離を保って手早く撮影しましょう。

ヘビ編

ヘビに出会いたいなら、完全な晴天は不向きです。秋のさわやかでやわらかい陽射しでも、彼らはあまり好みません。理想的なのは雨上がりの曇天。ちょっと蒸し暑さを感じるような日です。
行き先は自然度の高い公園や、里山風の場所を選びます。どうも、ニホントカゲがいるような場所ならヘビにも出会えるような気がしますが、あくまでそんな気がするだけです。特に田んぼはヘビ探しにはもってこいですね。
バスキング中を狙うトカゲ・カナヘビ探しとは違い、ヘビは基本的にコチラから積極的に探しに行きます。彼らも彼らなりに日光浴をしたりくつろいだりするのですが、トカゲ類よりも隠蔽性が高く、見つけられない場合がほとんどです。逆に、そういう表情の彼らに出会うととってもラッキーですね。
ではどうするかというと、草むらなど茂みを歩いて探します。すると、運がよければ彼らのほうが驚いて逃げようとします。その動きを見逃さないようにしましょう。ただし、この探し方でヘビを探すなら、「マムシ注意」の看板のある場所は避けるようにします。また、足元はできれば長靴か、しっかりしたハイカットの靴にしておきましょう。
ヘビの場合、観察するにしても撮影するにしてもワタクシはとりあえず捕まえています。というか、捕まえることが目的だったりします。キャッチ&リリースですね。ヘビにとってはいい迷惑でしょうが、ちょっと遊んでください、お願いしますっていう気持ちで接します。
さて、運よく逃げていくヘビを見つけたら、まず尻尾を踏みます。アオダイショウ、シマヘビなら、この時点では咬もうとはせず、ニョロニョロ逃げようとします。この時点でヘビの全身が見えるはずですから、もし自分が踏んだヘビがアオダイショウやシマヘビではなくヤマカガシやマムシだったら、すぐに足を外して逃がすようにします。沖縄や南西諸島の場合、これでも咬んでくるヘビがいるので注意しましょう。
ここから先は本州でアオダイショウやシマヘビを見つけたときのハナシ。
とりあえず尻尾を踏んだら、空いているほうの足のつま先でヘビの体をたどり、なるべく頭部に近い場所を踏んで押さえます。このとき、頭部までの距離が遠いと、この足を咬みに来ます。体というより、首を踏むつもりで狙いましょう。そうすると、頭部の動きがかなり制限されます。この状態で、手の親指と人差し指でヘビの頭部を上下からつかみ、持ち上げれば捕獲成功です。このとき、わりと本気で力を入れないと逃げられますぞ。
というわけでめでたく捕獲したわけですが、そのヘビどうしようってハナシですよね。ちなみに、こうして掴んだヘビというのは頭がかなり圧迫されてつぶれているため、写真映りがかなり悪いです。ぜんぜん映えません。あーあ、映えるとか言っちゃった。まぁいいや。
ここで、ちょっとした小技をご紹介。
話が前後しますが、撮影目的でヘビを探しに行くのなら、お茶碗とかステンレスボウルとか小さめのバケツとかを持っていくことをオススメします。これを、ヘビを撮影したい地面に伏せ、ちょっとだけ持ち上げて隙間を作ります。その隙間に捕まえたヘビの頭を入れ、手を離します。運が悪ければ即座に咬まれますが、たいていはそのまま伏せた容器に逃げ込みます。全身入ったら、そのまま容器を地面に伏せ、しばらく押さえつけます。
すると、容器の中でヘビはとぐろを巻いた状態になり、じっとしていてくれます。このとき、四角い容器を使うと四角いとぐろになって全然カッコよくならないので、ボウルのように丸い容器を使うわけです。また、押さえつける時間が長いと容器内でウロウロ探索し始めるので、あくまでもスピーディに。
ここで、容器をぱっと持ち上げると、急に明るくなって目がくらむのか、なんととぐろを巻いた状態でじっとしていてくれるのです。数秒だけ。ここが、シャッターチャンス!
アオダイショウ
シマヘビ
そうして撮影したアオダイショウとシマヘビの写真です。こういう写真、図鑑とかで見たことあるでしょ?きっとこうやって撮影された半分ヤラセの写真ですよ。まぁでも、けっこうそれっぽく撮れるもんです。

とまぁ、こんな感じで、秋のフィールディングは楽しいもの。
いい感じの天気に恵まれたら、ぜひ行ってみてくださいな。

 

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